YAMAHA MOTIF-RACK XS

MOTIF-XSを日頃愛用している私としては、「MOTIF-RACK XS」はラック音源としてのバリューをどう見せてくれるのか、とても気になっていました。

MOTIF-XSがMOTIF-ESと比較して音色クオリティ、機能が2倍以上アップしていたので、MOTIF-RACK ESのように1Uのサイズでは絶対無理だと思っていましたが、いい意味で裏切られました。今回採用されたインターフェイスはハード的にもソフト的にも驚異的ともいえる完成度です。その先進のスペックは、128音の最大同時発音数、355MBもの波形メモリー、1152ボイス+65ドラムキット、4タイプを同時再生可能な6,633タイプのアルペジエイターなど。

まずは、MOTIF-RACK ESとMOTIF-RACK XSを画像で比較してみましょう。

ノブダイヤルを回すか、カーソルキーを使って目的の音色を探し、さらにノブを押すと目的の音色が表示されます。

下段のMOTIF-RACK ESと比較してボタンが圧倒的に減り、リアルタイムコントロール用の5つのノブが目を引きますが、このノブが抜群に使いやすい。

左のライトの点滅場所を切り替えて5つのノブをマトリックス上でコントロールするアイディアはノブの操作感と相まってとても機能的です。パラメーターもツボを得た選択がされており、とても使いやすいです。

音色のセレクトは、今回インターフェースが新しくなったノブによるカテゴリーサーチ機能がとても便利です。 ノブを押すとカテゴリーサーチの画面に変わります。

Main(メイン)でピアノ、ギター、ストリングスなどの大枠のカテゴリー、Sub(サブ)でさらに細かく楽器の分類を設定できます。(ギターだったら、アコースティック、エレクトリック、ディストーションなど)

この状態でさらにノブを押すと、選択されたカテゴリーの音色群が表示されます

ノブを回すか、カーソルキーを使って目的の音色を探し、さらにノブを押すと目的の音色が表示されます。

ちなみに、AUDITION(オーディション)ボタンで、選んだ音色にマッチしたフレーズが演奏されます。

ところで、このディスプレイは1Uに合わせて小型ですが、非常に高細密なので、下記のエフェクト画面のように表示できる情報量は十分すぎるくらいです。

では、ムービーによるMOTIF-RACK XSの操作、音色紹介をご覧ください。今回はMIDIキーボードにKXの88鍵モデル「KX8」を使用しましたが、抜群の相性でした。KX49も用意していたのですが、鍵盤のクオリティが違うだけで音までよく聞こえてしまうのが不思議です。これは、本来MOTIF-RACK XSが持っている楽器としてのダイナミクスが、KX8のピアノ鍵盤によって引き出された結果といえます。その辺も注目してみてください。

さて、MOTIF-RACK XSにはCubase AI4が同梱されています。ヤマハが開発したスタジオ・マネージャー、スタジオ・コネクションズというプログラムにより、ハードウエアとソフトウエアを統合できる環境となります。わかりやすく述べると、Cubase AI4上でハードウエアを完全に制御し、あたかもソフトウエアを扱っているような感覚でMOTIF-RACK XSを扱うことができるのです。

この機能を具体的に実現したのがMOTIF-RACK XS専用に用意された「MOTIF-RACK XS Editor」です。(スタジオマネージャー、MOTIF-RACK XS EditorはヤマハのWEBサイトから無償でダウンロードできます)では、MOTIF-RACK XS Editorを見てみましょう。

このエディターは素晴らしくよくできていて、見てのとおり16パートが並んでおり、すべての機能が視覚的にも感覚的にもコントロールできるインターフェイスが実現されています。たとえば、リバーブの量を変えたい場合、ノブをクリックすると下記のようにレーダーのように変化し、簡単に増減が可能です。

音色名のところをダブルクリックすると、カテゴリーに分類された音色ライブラリーが現れます。

各音色のエディット画面も下記LFOやエフェクトの画面をみてお分かりのように、グラフィカルに表示されるので感覚的な操作が可能です。


下記ムービーでは、このエディターをフル活用し、Cubase AI4でMOTIF-RACK XSのマルチ上にアサインされたベース、クラビ、ドラムス、エレキギターのカッティング、ブラスセクションをMIDIレコーディングしました。

特にエレキギターはKX8のアルペジエイターを使用して録音しましたが、もちろん、MOTIF-RACK XSに内蔵されたアルペジエイターでも録音可能です。では、Cubase AI4上でのMIDIレコーディングの模様をご覧ください。

今回、MOTIF-RACK XSを使ってみて強く感じたのは、ムービーでも言っていますが「久々にそばに置いておきたいラック」という点です。

音の良さ、優れた操作性、PCとの親和性、ラックとしての優れたスペースユーティリティーなど、ハードウエア音源としての完成度のバリューは想像を遥かに超えていました。ぜひお試しあれ。

さらにおすすめ

microKORG XL

見てください、この外観。 すでにミニ鍵盤アナログモデリングシンセとして不動の地位を築いた元祖「microKORG」は、多くのパラメーターをパネル上に表わし、飛行機のコクピットのような操作子の多いビンテージ感でしたが、この「microKORG XL」は、とてもすっきりしたパネ...

ARTURIA DX7 V

数々のビンテージ・シンセサイザーをソフトウェアで再現してきたARTURIA が、新たなコレクションとしてFM音源の名機を出してきました。YAMAHAが80年代に世界的大ヒットをさせたデジタル・シンセサイザーで、当時は聞き慣れないFM変調という方式で作られたYAMAHA ...

ZOOM ZFX 導入編

皆様はじめまして。永野啓司と申します。これから4回にわたってZOOMから発売されたZFX Packageについてのレビューをお届け致します。なるべく簡潔で分かりやすい文章を目指しますので、最後までお付き合い宜しくお願い致します。 What’s 「ZFX Package」? まず、...

YAMAHA AUDIOGRAM 6

170mm×192mmのコンパクトサイズに、チャンネル1、2がモノラル入力、チャンネル3/4、5/6がステレオ入力の合計6チャンネル高性能ミキサーとUSBオーディオインターフェイスが合体したのが、このAUDIOGRAM 6です。 見ての通り、AUDIOGRAM 6の見た目は完...

Prominy V-METAL

ギター関連の音源が続いてしまいましたが、細かな説明は抜きにして、氏家さんの演奏するデモムービーをご覧下さい。 いかがでしょうか? キーボード(鍵盤)から演奏しているとは思えないほど、リアルな音、奏法を再現しています。 では、このリアルなサンプル音源、V-METALを見てみましょ...

sE Electronics社 製品インタビュー

sE Electronicsは、高品質なコンデンサーマイクや、マイクリフレクションとのバンドル製品など、ユニークかつユーザーのニーズを捉えた製品を数々リリースしており、その高品質な製品はプロの現場でも高い評価を得ると共に、著名なミュージシャン、エンジニアも使用するトップブランドと...

もっと記事を見る

page top