DJ-tech Alessi Foti氏へインタビュー
- 2013/09/18
DJ-techのスタッフが来日していると聞き、普段からiCUBE90などDJ-techを愛用している私、氏家としてはぜひお話を伺いたく、フックアップにお邪魔してしまいました。
今回来日したのは、テクニカル&マーケティング・ディレクターでイタリア人のAlessio Foti氏、セールス・マネージャーで香港人のChris Ho氏、マーケティング・エグゼクティブで香港人のIcy Yuen氏の3名。今回はDJ-techのコンセプトや商品の詳細をお聞きすべく、Alessi Foti氏にお話を伺いました。
氏家(UJ):どうもはじめまして。我々ミュージックトラックでは、音楽制作という切り口で様々なユーザーが音楽投稿をして盛り上がっていますが、ほとんどの方がDAWなどを駆使して様々な楽器を演奏したり歌ったりしています。
もちろん最近では、シンセサイザーやDJ機器を駆使したテクノ、エレクトロ、ヒッピホップなどダンス系の曲も沢山アップロードされてポピュラーになってきています。
特にハードウエアとしてのターンテーブルはもちろん、PCと直結してDJソフトウエアと連動できる小型でUSB接続ができるDJコントローラーが値段も手頃で人気があり、その影響もあってDJ人口が飛躍的に増加しています。で、そういう背景で今回このDJ-techのアナログDJミキサーを拝見して、とても新鮮に感じています。
私はシンセサイザーの分野が専門なのですが、シンセサイザーも最近はアナログが大全盛でして、とても親和性を感じます。さらにアナログシンセのコストパフォーマンスが劇的にによくなり、より幅広い層に普及しつつあります。
DJでの分野ではいかがですか?
Alessio Foti(AF):2~3年前あたりから様々なメーカーからPCとUSB接続して使用するDJコントローラーが数多く登場し飽和状態になっていました。機能も多くなりすぎてフィジカルな感じやフィーリングを大事にしたいという要望が多くのユーザーから寄せられました。
そういう面をメーカーとしても大事にしたいという意味でのアナログ回帰です。ただアナログだけという訳ではなく、デジタルの機能面で優れているオペレーションとアナログのフィーリングを融合したいと考えています。
UJ:そういうお話を聞くと、シンセサイザーと同様のストーリーがDJ分野でも起こっているということですね。
AF:PCを使用すると接続マッピングなど自由自在ではあるのですが、非常に複雑になり難しくなりすぎました。簡単に接続できて、すぐに使えるアナログフィーリングがとても大事ですね。DAWソフトウエアも物凄く多機能になった代わりに初心者にとってはスーパーカーのような仕様になってしまい、とても使いこなせないモンスターの様になってしまいました。音楽なのですから、シンプルかつ楽しく演奏やパフォーマンスが出来なければ意味がありません。
UJ:実は私はDJ-techのiCUBE90をライブで愛用していまして、とても重宝しています。
iCUBEは音の良さはもちろん、運びやすいハンドルやキャスター、iPodドックなど、ありそうでなかったユーザー視点のアイディアがプロダクツに生かされているように感じます。DJ-techには、きっとユーザーからの様々な要望やご意見が沢山集まっているのではないですか?
AF:いろんな機能があっても、それを何%の方が使用するのか?という点が重要です。今回ご紹介している“DIF-1S”もNAMMやMESSEで紹介した時に多くのディーラーやユーザーから、「これは使いやすい」「こういうDJプロダクツを待っていたんだよ」という声を頂きました。
DJ-techには実際にミュージシャンとして演奏をするスタッフも多くいますし、プロミュージシャンや一般のアマチュアミュージシャンの方々から要望を頂いています。中には「これはこうじゃなきゃダメだろう」という苦情も我々にとっては改善点として大切な情報なのです。そういうご意見を次のプロダクツに具現化していくのが我々のポリシーでもあります。
UJ:素晴らしいです。iCUBEの新商品でもシンプルで使いやすい設計はそのままに、Blue-toothでスマートフォンの音を鳴らせる機能が搭載されていたりと感心していました。まさにそのポリシーが実現されていますね。確かに大手の楽器メーカーにはないユーザー視点のプロダクツが、DJ-techの大きな特長だと理解できます。
AF:私にとってはユーザーの要望や意見をフィードバックするのが、マーケティングとしての最も重要な仕事なのです。ユーザー、ミュージシャン、ディーラーの声を聞きに年中世界中を旅し、その意見を反映したプロダクツをご紹介することができてとてもハッピーです。でも…私のワイフはいつも私が留守なのでハッピーではありません(笑)
UJ:Oh, NO~(笑)さて、アナログのターンテーブルとPCによるデジタルDJを両方使うというのは、昨今のDJ分野では一般的になりつつあるのでしょうか?
AF:トレンドとしては、PCによるDJがポピュラーではあります。なぜなら何十枚もアナログのレコード盤を持ち歩く必要がなく、PC内ハードディスクの莫大なライブラリーによる仕込みで事足りるからです。さらにそのライブラリーもレコード屋に行くこと無くダウンロードで増殖できるのですから、これは便利ですよね。
でも実際の使い勝手はアナログの方が圧倒的に優っているという意味で、両方を駆使してハイブリッド状態になってきているのが最先端と言えます。もちろんDJ-techとしてこの状況にフィットしたプロダクツをベストなタイミングでリリースしていますが、今後の動向も的確にキャッチしていきます。
UJ:私の友人はiPadでDJをしています。iPadでのDJシーンはどのように感じますか?
AF:確かにiPadのDJアプリも多いですね。今後のiPadは容量も増えるでしょうからPCに置き換わることも十分ありえますね。でも肝心のDJミキサーはアナログがいいですよね。
UJ:そういえば、ヨーロッパではDJのソースとしてシンセサイザーも積極的に使われているようですね。アルペジエイターやステップシーケンスなどのリアルタイム・コントロールに特化したアナログシンセとアナログDJミキサーって、ベストマッチングのような気がしますよね?
AF:確かに電子楽器とDJ機器との融合は実際多いですよね。この傾向はますます盛んになるのは間違いありません。もちろん我々も注視しています。
UJ:では、実際にここにある“DIF-1S”のご紹介をお願いします。
AF:クオリティには全く妥協しないでリーズナブルな価格を実現できたので、初心者からプロフェッショナルまで必ずご満足いただけるでしょう。大きなポイントはAudio Innovate 社のクロスフェーダー「Mini innoFADER」を採用している点です。大変スムースで耐久性にも優れた定番中の定番クロスフェーダーです。
電源にもこだわっていて、廉価版の機種にありがちな大型の電源アダプターは採用しておらず、本体に3芯の電源ケーブルを刺すだけでOKです。もちろん豊富な入力端子を装備し、様々なアナログソースはもちろん、タイムコードモードによりDVS(Digital Vinyl System)ユーザーにも大変便利にお使いいただけます。
モード変換スイッチだけで接続直しは一切不要なので、アナログターンテーブルとデジタルによるDJを“DIF-1S”内で融合できます。まさにシンプルですが素晴らしいアイディア商品と言えます。ユーザーの皆さんは物凄く便利に使えると思いますよ。
さらにリミテッドエディションもあります。これは有名なDJのTHUD RUMBLEシグネーチャーモデルとなります。カラーリング以外の使用は“DIF-1S”と全く同じです。
UJ:まさに他社には真似の出来ないDJ-techらしいプロダクツですね。
これに強力なアナログフィルターが装備されたら、さらにシンセサイザーとの親和性も強調されて良さそうですね。そうなったら私もすぐに使いたいです!!このアイディアいかがですかね?
AF:面白いアイディアですね。我々もより広い層にアピールしたいので面白いかもしれません。今後も日本も皆様のご期待に添えるような革新的なプロダクツをご紹介できると思います。ぜひお楽しみに!
UJ:大変興味深い話が聞けて、ますます今後のDJ-techへの期待度が200%になりました。本日は貴重なお話ありがとうございました。
では、続きは呑み屋で~!
AF:Yeah ! Let’s go !!
著者: 氏家 克典