YAMAHA MOTIF XF

今回紹介するプロダクツは、ヤマハの“MOTIF XF”。

ミュージック・プロダクション・シンセサイザーという名のとおり、数々の新機能、音色を搭載して素晴らしい完成度で登場したワークステーション・タイプのシンセサイザーです。MOTIFシリーズは、私自身も開発に携わった思い入れのあるシンセサイザーなのです。

まずは外見からチェック!


今までのMOTIFシリーズはシルバー系を基調としたカラーリングが特徴的でしたが、今回のXFは精悍なブラックです。いや〜このデザインに黒は、重厚感が増して素晴らしくよいですね。大画面カラーディスプレイがより一層映えます。

リアパネルはこちら


見てのとおり、前シリーズであるXSと比較するとカラーリング以外の違いは見当たりません。 ですが、内部は驚くべき進化を遂げていたのです。そのXFへ進化をXSとの比較で見てみると、次のようになります。
XS XF
波形メモリー(16bitリニア換算時) 355MB 741MB
アルペジエータ数 6,633 7,881
内蔵SD-RAM なし 128MB
フラッシュメモリー なし 最大2GBまで拡張可能

XSではDIMMでサンプル用のメモリーを拡張していましたが、機能上電源をOFFするとすべて消えてしまいました。XFではフラッシュ・メモリーの搭載により、電源を消してもサンプルデータは消えずにメモリーに残ります。

これは素晴らしい!(スロットが2つあり、それぞれ1GBまで拡張可能=合計2GB)


音色という面で見ても波形メモリーは倍以上に拡張され、XSと比較して、まさにダブル以上のバリューが詰まっているといえます。いや〜MOTIFもスゴい進化を遂げたものです。

ということで、ここでMOTIFシリーズの歴史も振り返ってみましょう。

華麗なるMOTIFシリーズ・ヒストリー
MOTIFシリーズは当初より、61鍵、76鍵、ピアノタイプ88鍵の3バージョンが(MO、MMシリーズは 61鍵、ピアノタイプ88鍵の2バージョン)や、ラックマウント・タイプもラインナップされていました。

●MOTIF(2001年)〜搭載波形メモリー容量=84MB(16bitリニア換算時)


●MOTIF ES(2003年)〜搭載波形メモリー容量=175MB(16bitリニア換算時)

●MOシリーズ(2005年)〜搭載波形メモリー容量=175MB(16bitリニア換算時)


●MMシリーズ(2007年)〜搭載波形メモリー容量=70MB(16bitリニア換算時)


●MOTIF XS(2007年)〜搭載波形メモリー容量=355MB(16bitリニア換算時)


741MBもの大容量波形メモリーに新しいサウンドが満載
XSから倍増した波形メモリーを使用した新規音色が、128音色+8ドラムキット分ユーザーバンクに追加されています。

この新規音色のクオリティーがもの凄い。(私も音色制作に携わっているので超自信作!)

まず、「Natural Grand S6」のピアノが弦の振動や木の質感までも再現され、モニターヘッドホンで聴くと、超高品位マイクをセッティングした際の凄腕エンジニアによるスタジオモニター時と錯覚する程の生々しさ。特に繊細なタッチでのダイナミクスは秀逸です。

「クラビネット」の音色群もライン、ギターアンプ接続、ビンテージ・ワウなどのバリエーションは涙モノです。

60年代の「コンボオルガン」、アダルトな「ジャズギター」も超充実。

メイプル・カスタム&オーク・カスタムのドラム・キットは他の追従を許しません。

アコーディオンは、フレンチ、イタリアン、ダッチとよりどりみどり。

もちろんオーケストラ系サウンドの要であるストリングス、ブラス、パーカッションも超豪華に揃っています。

これだけでもスゴいのに、ヤマハのサイトでは、なんとフラッシュ・メモリー用の拡張音色(音色データと波形サンプルのパック)まで無料で用意されています。もちろんこれら音色群も素晴らしい完成度です。
なんて太っ腹なんだ!

新機能、便利機能の数々

実は、XSでリクエストが多かった要望がこのXFでは大幅に取り入れられていて、ライブやレコーディングに大変重宝する新機能が搭載されています。

●TAPタブの追加
ディスプレイの右にTAPタブが追加され、アルペジエイター等のテンポを素早く設定できます。XSだとアルペジオ・タブの中に入ってカーソルをTEMPOに合わせてから変更という、面倒な作業だったので、これは超便利!

●ディスプレイのカスタマイズ
ディスプレイのカラーリング(全8色から選択可)や表示をカスタマイズできるようになった。特に便利なのは、音色名をディスプレイ下部に表示できる機能。


通常、音色名はディスプレイ上部に表示されているが、2段スタンドの下段にXFをセッティングした際に上段のシンセで音色名が見づらい時に大変重宝するだろう。

●カテゴリー・サーチの進化
カテゴリー・サーチにメインとサブを設け、目的の音色に素早くたどり着けるようになった。もちろんFavoriteでお好みの音色をあらかじめセットする事も可能だ。


●MOTIF XF Editor VST
DAWとのスマートな連携ができる優れもののエディターだ。これに慣れると本体でのエディット以上に快適なので、手放せなくなる事、間違いなし。(ヤマハサイトよりダウンロード)


・DAWとの連携
もちろん、MOTIF Xsにはスタインバーグのヤマハ専用版Cubase Aiがバンドルされているので、すぐにコンピューターとの連携による音楽制作環境が構築可能だ。もちろん、Remote機能により、XFのパネル上でCubaseの操作制御が可能だ。(DP、Logic、Sonarの制御も可能)


これらのMOTIF XFの機能を駆使したプリセット、パフォーマンスなどの音色、演奏、操作などは映像をご覧下さい。


■オフィシャルレビューHD版について

ミュージックトラックのオフィシャルレビューHD版では、映像はハイビジョン映像を記録し、音声はマルチトラックでZOOM のR16を使用してデジタルレコーディングを行い、それぞれの素材をもとに映像編集しています。

さらにおすすめ

Oberheim OB-8

前回のMatrix12に続き、今回はMatrix12よりも前に出されたOB-8の登場です。 Matrix12は、今回のOB-8のレビューを出す前にお蔵入りはもったいないとの理由から急遽、過去の幻の第1回作品だった映像をアップしました。 今回のOB-8は、正真正銘のアナログシンセサ...

UVI VINTAGE VAULT 2

UVI VINTAGE VAULT 2は、UVIが販売する膨大なUVIインストゥルメントの中からビンテージ・シンセサイザーのシリーズをバンドルし、そして今回新たなマシンを追加したコレクションとして集められた究極のバンドルコレクションです。

Modal Electronics ARGON 8

Modal Electronics から最新のウェーブテーブル・シンセシス・エンジンを搭載したシンセサイザー ARGON 8 が発売されました。ARGON 8 は、37鍵、8ボイスのコンパクトなウェーブテーブル・シンセサイザーで、ラック版の ARGON 8M と 61鍵モデルの ...

Steinberg Cubase 5

「Cubase 5」は、皆様ご存じ、スタインバーグの最先端 DAW = デジタルオーディオ ワークステーションです。 そして・・・「Cubase 4」から2年の時を経て、ついに「Cubase 5」が登場しました。とかくバージョンが上がると莫大な機能が追加され、初心者はもちろん、も...

Audio Cubes

光ってます。コンピューターとつながっています。 この光る物体、というか箱。最初に見た感想は「何ですか?これ?」でした。皆さんも一緒ですよね。箱は英語でCube(キューブ)。Audio(オーディオ)に関連している箱なんだろうなぁという単純なイメージしか持ち合わせていませんでしたが...

IK Multimedia iRig Keys I/O

IK Multimediaから新しいコントローラー、iRig Keys I/O が発売されました。iRig Keys , iRig Keys Proに続き、iRig Keys I/O は、25Keyと49Keyの二種類がラインナップされています。名前からも十分...

もっと記事を見る

page top