Oberheim OB-8

前回のMatrix12に続き、今回はMatrix12よりも前に出されたOB-8の登場です。 Matrix12は、今回のOB-8のレビューを出す前にお蔵入りはもったいないとの理由から急遽、過去の幻の第1回作品だった映像をアップしました。

今回のOB-8は、正真正銘のアナログシンセサイザーです。 OBシリーズは、OB-Xから始まり、OB-Xa、OB-8へと続き、OBシリーズの最後となります。

まずは、スペックから。

Oscilator2VCOで8ボイス、16VCO
WAVEノコギリ波、パルス波、サイン波、ノイズ
VCF1:LowPass12/24db、HighPass、BandPass、Notch
VCA1
OtherRING(リングモジュレーター)、X-MOD(クロスモジュレーション)、SYNC(オシレータシンク)、Arpeggiator、PANModulation、KeySprit、Laye

オシレーターセクション

2つのオシレータがあり、ボタンによって波形を選択するタイプです。 オシレータ2のデチューンは、コントロールセクションにあります。

マスターセクションとコントロールセクション

マスターボリューム、マスターチューンなどがあります。 このTUNEボタンは、1回押すことで8ボイス全てのオシレータ、フィルター、エンベロープをチューニングしてくれます。コントロールセクションには、凶悪なユニゾンモードとポルタメントが待機してます。

モジュレーションセクション

オシレータモジュレーションやパルスワイズモジュレーションをコントロールします。LFO波形には、S&H(サンプルアンドホールド)も。

フィルターセクション

同じOBシリーズなのですが、OB-Xだけは搭載しているフィルターチップが異なります。 OB-Xは、松武さん所有のYMOでも知られている矢野顕子さんが使ってた白いパネルのOberheim-8VoiceやOberheim-4Voice、SEMモジュールと同じ、SEMフィルターを搭載しています。

SEM / 8Voice

オーバーハイムSEMは、オーバーハイム初代のシンセサイザーモジュールで、Oberheim-8VoiceやOberheim-4Voiceは、このSEMを複数台搭載してます。 このSEMのフィルターは、オーバーハイムサウンドのキャラクターを存分に知らしめたフィルターでもありました。

OB-Xa

次に発売されたOB-Xa、OB-8からは、カーチス社製のチップに切り替わってます。 カーチス社のフィルターは、Prophet5のRev2以降や最近でもProphrt5の開発者であるDaveSmith(Instrument社)が出したEvolverやProphet08などにも搭載しているタイプのフィルターチップです。

エンベロープセクション

フィルターエンベロープとアンプエンベロープがあります。このエンベロープの切れ、立ち上がりのスピードがまたいいのです。

ベンドコントローラセクション

何やらたくさんのスイッチが密集していますが、ここでリアルタイムコントロールの設定をします。アルペジエータのコントロールもここで行います。

ボイスパンニングセクション

ここが各ボイスのPANを独立してコントロールする部分です。 本体の右サイドにあり、指でも回せるツマミをいじって細かく設定します。 アナログシンセサイザーではモノフォニックが主流だった時代にステレオアウトで、各ボイスが鳴る毎に左右に振れるサウンドは独特です。

背面インターフェース端子

意外にも様々なコントロールが可能なインターフェースが揃っています。

それでは、さまざまなサウンドを紹介した映像をご覧ください。

どこかで聴いたことがあるサウンドがあったと思います。 有名なJUMPのイントロサウンド、実際にはOB-Xaが使われていたと記憶しますが、オーバーハイムの次元の違う分厚いオシレータは健在です。

他にも、PRINSEの1999や、映画ビバリーヒルズコップのメインテーマのイントロ、Styxなど、その特徴あるサウンドは様々なアーチストのヒット曲の随所で「これ」とわかる個性的な音で聴くことができました。今はこの個性あるサウンドが少なくなりましたね。

こんな太いオシレータを持ちながら、16VCO全てが重なるユニゾンモードと、ポリフォニックのポルタメント。

オシレータやフィルターなど、それぞれがアナログの不規則な動きも個性となって最凶の音を作り出します。ポルタメントなどは、各ボイスがバラバラ(不規則に)キーを移動するときのデジタルでは味わえない音の質感、やはりこの自然なアナログのいい意味での不安定さはなかなか現代の楽器で再現することは難しいのでしょう。

さらにおすすめ

microKORG XL

見てください、この外観。 すでにミニ鍵盤アナログモデリングシンセとして不動の地位を築いた元祖「microKORG」は、多くのパラメーターをパネル上に表わし、飛行機のコクピットのような操作子の多いビンテージ感でしたが、この「microKORG XL」は、とてもすっきりしたパネ...

VISCOUNT Legend '70s

イタリアの有名なオルガンメーカーVISCOUNTからユニークで本格的なステージピアノが発売されました。(2021年4月時点、日本ではまだ販売されていません)VISCOUNTはパイプオルガンや電子オルガンを販売していますが、過去にもOberheimのブランドでOB-12というシンセ...

Access Virus TI2 Polar

musictrackでは、過去にもAccessのVirusシリーズをレビューしていますが、今回もVirusのレビューをお届けします。今回は、OSがVer4.0にバージョンアップし、前回のVer3.0シリーズとともにさまざまな機能追加がされています。 Virus TI2 Polar...

Rhodes Mark 7

実は私、学生時代にはベースを弾いていました。で、出入りしていた楽器店でポロポロとキーボードを弾いていたところ、そこの名物店員(今やこの方は全国展開楽器チェーン店の社長!)の方に「氏家~!お前キーボードやれ!」と言われ、「まずこれを聞いてコピーしろ!」と渡されたレコードが、クルセイ...

2009楽器フェア 製品ピックアップ!

楽器フェア、行って参りました!早速いくつかの製品をピックアップしてレポートしてきたので、ご紹介します。 まずは、今年のNAMMショーでも話題だったRhodesの復活です。デジタル全盛のこの時代に、オリジナルに忠実かつ、スタイリッシュにmk7として蘇りました。日本の代理店は、山野楽...

KORG prologue

最近、アナログ機器を積極的に開発、発売をしているKORGから、モノフォニックのmonologue、4ボイスのminilogueに次ぐハイエンドのアナログ・シンセサイザー、prologueが発売されました。 prologueには、8ボイス/49鍵のprologue-8と16ボイス/...

もっと記事を見る

page top