松武秀樹氏インタビュー

先日、松武秀樹氏(Logic System)のニューアルバム”TANSU MATRIX”にシンセサイザープレイヤーとして参加させていただきました。

松武邸レコーディングスタジオは閑静な住宅街にありました。

スタジオの入り口には、Prophet-10、Oberheim Matrix-12、TR-808などが無造作に壁に立てかけてあり、非日常的なその雰囲気に一瞬目眩がしました。スタジオ内は所狭しとシンセサイザー、コンピューターがセッティングされていますが、中でもEMU Modulerが鎮座しているコーナーはゴキゲンです。

今回のレコーディングでは、アナログシンセをフィーチャーした世界観がコンセプトということで、私もアートリアの”Origin”、ウォルドルフの”Blofeld”、を中心に演奏しました。他にもMOTIF-RACK XS、TENORI-ONも活躍しています。

特に今回のアルバム内のほとんどの曲のベース、リズムはこのEMU Modularでのプログラミングだそうで、ものすごい存在感のある音が鳴っていました。特にモニター(ヤマハのMSP5A)の音が素晴らしいので、何か秘訣でもとお聞きしてみたところ、この部屋専用に電線を引きこんでいるそうです。

また、当日は学研の取材もあり、7月30日に発刊される、大人の科学特別編集版「シンセサイザー・クロニクル」の付録アナログシンセサイザー”SX-150”の外部入力端子にEmu Modularのオシレーター信号を送って鳴らしてみたり、YMOで細野さんがメインでベースパートを弾いていた”アープ・オデッセイ”や松武氏秘蔵の”EMS VCS3”を紹介していただきました。

見どころは何といっても、学研シンセサイザーSX-150とEmu Modularとの連結技です。SX-150の外部入力端子は「INPUT」ではなく「EXT.SOURCE」という表現になっています。

すなわち音声信号を取り込むのでなく、簡単なFV変換回路(Fは周波数、Vは電圧)を間にはさんでいます。この回路により、SX-150の音程を外部信号でコントロールすることができるのです。

ムービーでは松武さんがEmu ModularのVCO信号をSX-150の「EXT.SOURCE」につなぎ、SX-150の音程をコントロールしています。よって鳴っている音はEmuModularの音ではなくSX-150そのものの音なのです。多彩なピッチ変調によるその音の太さにビックリです!

では、レコーディング現場突入ムービーをご覧ください。

貴重な経験をさせていただいた上に取材までさせていただき、この場を借りて松武さんにお礼を申し上げます。

ありがとうございました。

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