学研 SX-150
- 2008/07/29
実は私、氏家、この学研のプロジェクトに当初より参加しておりました。
大人の科学「テルミン」号が書店で驚異的なセールスを上げていた直後に、この企画が持ち上がりました。シンセサイザーを付録にするアイディアはとても斬新ではありますが、どこまで可能なのだろうか?と思っていましたが、とうとう学研スタッフの皆さん、大人の科学特別編集版「シンセサイザークロニクル」の付録としてそれを実現してしまったのです。しかも本物のアナログ・シンセサイザーです。ホント素晴らしい!!
まずは全体像を見てみましょう!
モーグ型のつまみや、プロフェット5を彷彿とさせるパネルプリントがいい感じです。
さて、このSX-150、さすがに鍵盤はついていません。そのかわり、テスター棒型スティックとスライドコントローラー部でリボンコントローラーのように演奏することができます。
このアイディアは、私も所有していた学研「電子ブロック」の中にもあった、紙に鉛筆で太い線を書き、この鉛成分をテスター棒でなぞって抵抗値を変えることで音程を変化させる電子音オルガンを応用しています。
電源はOFF、LOW、HIGHと音量調節も可能です。
LEDが眩しいくらいしっかり光るのもゴキゲンですね。ステージではこのLEDの光はかなり目立つでしょう。
このSX-150を理解するには、まずはシンセサイザーの基本を把握しなければなりません。まずは、下記ムービーでSX-150の基本を紹介しましょう。
VCO(ボルテージ・コントロールド・オシレーター)は「電圧で制御されるオシレーター=発信器」という意味で【音程】にあたります。
VCF(ボルテージ・コントロールド・フィルター)は「電圧で制御されるフィルター」という意味で【音色】にあたります。
VCA(ボルテージ・コントロールド・アンプリファイアー)は「電圧で制御されるアンプ=増幅器」という意味で【音量】にあたります。
この『音(シンセ)の3要素』はしっかり覚えましょう!
特にSX-150においてはVCFにあたるCUTOFF(カットオフ)、 RESONANCE(レゾナンス)は音色コントロールするのにとても重要です。ムービーでの音の変化に注目ですね。
さてアナログシンセサイザーの醍醐味は、この音の3要素に、いかに変調を加えて面白い音を作るか、につきるでしょう。
LFO(ロー・フレキュエンシー・オシレーター)による音の揺れを加えた変調は音に過激な変化が起こるのでとても面白いです。SX-150では揺れの形(波形)を三角波、矩形波から選択でき、LFO RATEによって揺れの速さを調節できます。
下記ムービーでLFOの面白さを見てみましょう。
EG(エンベロープ・ジェネレーター)は、音の時間的変化をATTACK(アタック=立ち上り)、DECAY(ディケイ=減衰)で調節できます。時間的に音の形が変化するので、音に様々な表情を付加することができます。
さらにPITCH ENV(ピッチ・エンベロープ)により、音程におけるアッタク=立ち上り(音程が上昇)とディケイ=減衰(音程が下降)をコントロールできます。これにより、シンセドラムのような打楽器的な音が作れますね。
では、下記ムービーでEG(エンベロープ・ジェネレーター)による実際の音の変化を確認してみましょう。
さて、SX-150の凄いところは、外部の音源を周波数変換してSX-150のアナログシンセ音を鳴らすことが出来る点です。
"EXT.SOURCE"と書かれた端子にいろんな音源をつないでみて下さい。見事にSX-150の音が鳴ります。一点注意が必要なのは、あるレベル以上の入力で反応するように設計しているため、ある程度増幅してから繋いでみましょう。
次にお見せするムービーではラジカセでFM放送を鳴らし、ラジカセのヘッドフォン端子からSX-150のEXT.SOURCEに繋いでいます。で、ボリュームを最大にするとSX-150が鳴り出します。
ミュージックトラックの第5回オフィシャルムービー「松武邸スタジオにお邪魔しました!」にて松武氏はEmuモジュラーのVCOからEXT.SOURCEに繋いで音を出しています。こちも必見です。
さらにSX-150にエフェクターを結線して出音を加工してみました。ディレイ効果(山びこのような効果)は抜群の相性で一挙にスペイシーサウンドになります。お試しあれ。
ではEXT.SOURCEとエフェクターの解説ムービーをどうぞ。
学研のアナログシンセサイザーSX-150、いかがでしたか?このレビューを見て聞いてお分かりのように、少々スペシャルな仕様ではありますが、本物のアナログシンセです。
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著者: 氏家 克典