Dave Smith Instruments Prophet REV2 16Voice
- 2017/12/25
- English version is available!
ここに注目:
- Prophetの名を引き継ぐ本格的なアナログシンセサイザー
- スプリットやレイヤーから生み出される多彩なサウンド
- 16ボイスのモンスタースペック!
- アルペジエーターとポリシーケンサーを搭載
更にパワーアップされたProphet REV2
Dave Smith InstrumentsからProphetブランドのシンセサイザーが更にパワーアップして登場しました。以前のProphet08シリーズは、Prophetブランドの復活と、アナログサウンドの復活が話題になり、一躍人気の8ボイスのアナログ・シンセサイザーとなりました。その後、Prophet-5の設計思想を受け継ぎ、ビンテージのProphetを限りなく再現した、6ボイス仕様のアナログシンセサイザーProphet-6が登場し、そして今回、新たにパワーアップして登場したのが、Prophet REV2です。
デモ&レビュー映像
まずは、その極上なサウンドと機能を映像でチェックしてみてください。
今までのProphetシリーズとの違い
デモのサウンドはいかがでしたでしょうか?
Prophet REV2の16ボイスを最大限に使ったレイヤーサウンドなど、アナログならではの厚さとサウンドです。
では、今までのProphetシリーズとはどこが違うのでしょうか?。
Prophet'08
Evolver以降、Prophetの名前で最初に登場したProphet'08は、100%アナログ信号・アナログ回路によるポリフォニック・シンセサイザーとして登場しました。どちらかと言えば、アナログによるポリフォニックシンセサイザーを復活させたというイメージが強く、もちろん音は良いですが、昔からのProphetユーザーからすると、これはこれで、別のProphetというアナログ・シンセサイザーだったのではないかと思います。
Prophet-6
次に登場したProphet-6は、設計思想をProphet-5からインスパイアされ、その再現を重視して作られたシンセサイザーだったので、フィルターの特性もオリジナルに近い形で作られていました。ツマミの形状、ボタンの位置や形、パネルデザインももデザインもどこかオリジナルに近い形状で、プリセットもオリジナルのプリセットが入っている程でした。
Prophet12
Prophet12は上記の2機種とはそもそもの作りが違います。Prophet12は、DSPによるバーチャル・アナログ・オシレーターのため、ここでは簡単に比較できないスペックになります。フィルターはアナログ回路になっていました。やはり、デジタルならではのモジュレーション、マトリクスの柔軟性、エフェクトやオシレーターのシェイピングなど、音の幅の広さを求めると、このProphet-12が最も個性が強い機種かと思います。
同じProphetシリーズでも、これらのような違いがあったことから、Prophet REV2の場合、スペックの内容から見るとProphet'08の仕様を受け継いだシンセサイザーだと思われます。
オシレーター・セクション
オシレーターは2つのデジタル・コントロールド・オシレーター:DCOを搭載しています。DCOはデジタルコントロールされたアナログ・オシレーターで、電圧によってオシレーターのピッチがずれるなどの不安定さがなく、現在のアナログシンセサイザーの主流になっています。
SHAPE
- Sawtooth
- Saw+Tri
- Triangle
- Pulse
オシレーター1,2ともに4つの波形が用意されています。
もちろん、SYNCも可能なオシレーターです。
NOISE
ノイズジェネレーター
SHAPE MOD
OSC1,2 それぞれにウェーブシェーピングが用意されています。それぞれの波形をシェーピングすることで、様々な波形を作り出すことが出来るようになっています。また、モジュレーションで変調をすることが出来るので、例えばLFOでシェイプをコントロールすれば、波形の連続的な変化が表現出来るなど、今までのProphetとは違ったカラーがあります。
SUB OCTAVE
サブオシレーター
OSC SLOP
なかなか聞き慣れないパラメーターですが、各オシレーター、ボイス毎にピッチや波形を微妙にずらすことで、より、アナログ感を出すためのパラメーターです。ビンテージの不自然なアナログの揺らぎを再現するなど、不安定さを敢えて前面に出す、まさに現代的なパラメータです。
フィルター・セクション
Prophet Rev2 のアナログフィルターは、16のボイスごとに 2ポール/4 ポール切り替え可能なカーチス製ローパスフィルターを搭載しています。
往年のカーチス・フィルターは、ビンテージのProphet-5や70〜80年代のビンテージ・シンセサイザーに数多く搭載されてきたフィルターの名チップです。
前モデルのProphet'08 でも採用されていたように、Prophet REV2もアナログのビンテージの良い部分を踏襲して、カーチスのフィルターを選んだのだと思います。Prophetの太いオシレーターにフィルター・レゾナンスを深くかけた時などに音が細くならず、痩せない、フィルターの名機だと思います。また、4poleの時は、オシレーターを介さずに自己発信することも出来ます。
エンベロープは、ADSR方式にDELAYが搭載されて、より細かな時間的変化を与えることが出来るようになっています。
その他、ENV AMOUNT、VELOCITY、KEY AMOUNTなど、シンセサイザーとして基本的なパラメーターや、「Prophetといえばポリモジュレーション。」と言われる程に有名な変調の機能もAUDIO MODという名前で用意されています。
エフェクト
フィルター・セクションの上にエフェクト・セクションがあります。ビンテージのアナログシンセサイザーの時代は、外部エフェクターを多用してリッチなサウンドに仕上げてレコーディングなどに使用する事が当たり前のように行われていましたが、現代のシンセサイザーは、ほぼ全てのシンセサイザーにエフェクターが内蔵されています。
プレイモード
エフェクトセクションの左側には、プレイモードと勝手に呼びますが、プレイする時のプログラムのモードが用意されています。
Global / Write / Compare / Edit Layer B
これらパラメーターは、本体の設定や、プログラムのエディット、書き込みなど、オペレーションに関するパラメーターのボタンになっています。
Split A | B
Stack A + B
ProphetRev2の特徴は、ここにあります。
16ボイスのプログラムをSplit:スプリットで重ねたり、Stack:レイヤーで分割して、そのパワーを有効に、リッチなサウンドを作り上げることが出来ることでしょう。16ボイスものパワーがあれば、スタック・レイヤーで8+8ボイスの重厚なサウンド、スプリットで左ベースの右バッキングなど、様々なパフォーマンスに適応出来ます。
PROGRAM / BANK
プログラムはダイヤル式の選択となっています。
512のファクトリー・プログラムと512のユーザープログラムという、膨大なプリセットを記憶することが出来ます。ディスプレイも有機EL ディスプレイで、視認性も抜群でした。
アンプ/オグジュアリー・エンベロープ
アンプ・エンベロープ
アンプ・エンベロープは、ADSR方式にDELAYを追加したパラメーターとなっています。
その他に、ENV AMOUNT,VELOCITYコントロールがあります。ここで特殊なのが、PAN SPREADパラメーターでしょう。各オシレータが、打鍵する毎に左右に振れるよう、その幅、深さをコントロールするパラメータで、左右のステレオを有効に利用して音の広がりを表現する時や、アルペジエーターでディケイの短い音をエフェクトでディレイをかけて、スプレッドで左右に散らすなどの小技などに使えると思います。
オグジュアリー・エンベロープ
第3のエンベロープになります。これもADSR方式で、DELAYを追加したものになっています。
DESTINATIONのパラメーターにより、変調するソースを選択することで、このエンベロープでコントロールすることが出来ます。変調する深さは、ENV AMOUNTで、ベロシティーでもコントロールする場合には、VELOCITYパラメータで調整するなど、かなり柔軟な使い方が出来るようになっています。
基本的には、オシレーターをこのエンベロープで変調して、ピッチエンベロープとして使うことが最も多いでしょう。
その他のセクション
モジュレーション
ソースとデスティネーションを選択して、AMOUNTでその深さを調整する、モジュレーション・マトリクスは、22のソース、53のデスティネーションをコントロール可能な8つのスロットを搭載しています。
Prophet'08の倍のスロット数なので、これだけあれば様々なパラメーターに変調をかけることが出来るので、作れる音の幅が格段に広がることでしょう。
ロー・フリケンシー・オシレーター(LFO)
LFOは4つの独立したLFOを搭載しています。SHAPEで波形を選択し、FREQUENCYでスピード、AMOUNTで係り具合を調整します。
波形は、Triangle , Sawtooth , Rev Saw , Square , Random が用意され、スピードも外部シンクや、キーオンによるシンクなどが用意されています。
この4つのLFOで、それぞれDESTINATIONで指定されたパラメータに対して、変調することが出来ます。
クロック
アルペジエーターとポリシーケンサーのクロックをコントロールするセクションで、タップによるテンポ指定も可能になっています。
アルペジエーター/シーケンサー
アルペジエーター
アルペジエーターは、5 種類のモード (Up, Down, UP+Down, Random, Assign) から選ぶ事ができます。16分音符, 三連8分音符, 8分音符, 付点8分音符, 4分音符から指定することが出来、その他にも、ノートのリピート、リラッチ、BPM、クロック・ディバイドが設定できます。アルペジエーターの速さは外部 MIDI のクロックに同期する事もできます。
ポリフォニック・ステップ・シーケンサー
ポリフォニック・ステップ・シーケンサーは 1 トラックあたり、最大 64 ステップのシーケンスを作成できるようになっています。また、1ステップごとに最大 6 ノートを記憶することができるので、スタックモードやスプリットモードで使用する場合には、レイヤーごとに異なるシーケンスを作成して、最強のパフォーマンスツールになります。
ゲート・シーケンサー
ゲート・シーケンサーは、4 トラックで最大 16 ステップのシーケンスを作成する事ができます。コントロールはノート以外にモジュレーション・ソースとしても機能し、フィルターのカットオフや、オシレーターのシェイプなど、モジュレーション用に4 つの異なる 16 ステップシーケンスでコントロールすることが出来ます。
ポリシーケンサーもゲートシーケンサーもタイと休符をプログラムする事ができ、テンポは外部 MIDI クロックに同期する事もできます。
コントローラー
コントローラーは、モジュレーション・ホイール、ピッチベンドが鍵盤上部に設置されています。
マスターボリュームもアンプ側の右側ではなく、左側にあるのが使いやすいですね。
GLIDE:ポルタメント、HOLD、トランスポーズ、12ボイス、24オシレーター分の強力なUNISONもも用意されています。
コストパフォーマンス
このように、Prophet REV2は、Prophet'08のスペックや機能を大幅にアップグレードして登場しました。
さらに驚くことに、Prophet'08の時と比較して、価格が下がっていることです。ProphetREV2には、8ボイスの下位バージョンやデスクトップ・モジュールバージョンもありますが、やはり最大限活用出来るのは、この12ボイスのキーボードモデルでしょう。
ビンテージのProphetと違い、安定して壊れにくくなっていることや、修理に出しやすいことを考えると、余程の拘りがない限りは、このモデルが長く使える、一番の買いになると思います。是非、店頭で触って音を聞いてみてください。