Moog ONE
- 2019/10/27
- English version is available!
ここに注目:
- Moogからアナログ・ポリフォニックのドリーム・シンセサイザー登場!
- 3つのVCOと2つのフィルターで、16Voice(8Voice)のハイスペックな仕様
- およそ30年ぶりとなるMoogのアナログのポリフォニック・シンセサイザー
Moog から超弩級のアナログ・ポリフォニック・シンセサイザー Moog ONE が出ました!Moog と言えば、Mini Moog や Moog Moduler など、シンセサイザーの歴史に残る名機達を世に送り出したメーカーです。
現在は新生 Moog として Moog Voyager シリーズや Phatty シリーズなど、Moog の伝統的な思想を引き継いで作られたアナログ・シンセサイザーを発売しています。
今回、Moog の DNA とアナログ・シンセサイザーの技術、最新のトレンドを盛り込んで、アナログ最高峰のポリフォニック・シンセサイザー、Moog ONE を発売しました。Moog ONEは、61鍵、16Voice、8Voice の2つのモデルがあり、ボイス数の違い以外、スペックは同一となっています。
全体的なイメージは、Memory Moog を彷彿させるデザインで、スライダーがなく、ツマミだけで統一された操作パネルも一目見て Moog とわかるデザインを目の前にすると圧倒されます。
1ボイスあたり、3つのオシレーター
Moog Oneのオシレーターは、1ボイスあたりが Mini Moog の1台分に匹敵するパワフルなアナログのオシレーターが3つ搭載されています。単純に計算すると、16ボイスモデル:48VCO、8ボイスモデル:24VCOとなり、これだけ見てもそのモンスターぶりがわかると思います。そのオシレーターを全てユニゾンで鳴らすと想像を絶するサウンドになります。
オシレーター波形
各ボイスのオシレーターは、新開発された三角波コア・アナログからなるアナログオシレーターで構成されています。
1つめの波形セクションでは、ノコギリ波と三角波をボタンで選択する事が出来ます。それぞれの波形は、WAVE ANGLEというパラメーターのツマミで波形を可変する事が可能で、三角波は波形の上昇/下降タイムをコントロールして波形を操作。ノコギリ波は、位相を変化させることで、波形をコントロールし、波形の状態はそれそれのVCOのセクションに配置された波形用のLCDモニターでリアルタイムに確認することが出来ます。
もう一つの波形セクションは、パルス波を搭載し、PULSE WISEでパルス幅を可変出来るようになっています。
この2つの波形をミックス、ハードシンク、リング・モジュレーター、FMを駆使することで一般的なアナログシンセサイザーには出来ないかなり複雑な波形を生成する事が出来ます。
オシレーターのピッチとモジュレーション
1オシレーターあたり、鋸波または三角波+パルス波の二つの波形をMIXで混ぜ合わせることで、1つのオシレーターの波形を生成します。それが3オシレーター分も搭載されていています。
オシレーターのピッチは、Mini moog 同様、32’, 16’, 8’, 4’, 2’のレンジで指定し、FREQUENCYで±7(上下5th)までのセミトーンを指定できます。BEAT FREQUENCYでは、最終的に微妙なオシレーターのチューニング(デチューン)をコントロールします。
また、オシレーター同士の HARD SYNC(ハードシンク)や、RING MOD(リングモジュレーション)、FM(フリケンシーモジュレーション)が搭載されているので、アナログシンセサイザーのオシレーターとしては、超複雑な倍音波形を生み出すことが出来るようになっています。
ノイズジェネレーター
デュアル・ソース・ノイズ・ジェネレーター:ノイズも多彩なソースが用意されています。COLORボタンで、3つのソースから選択する事が出来ます。(RED+WHITE・RED+PURPLE・WHITE+PURPLE)
それぞれのノイズカラーは、COLOR MIXによって混ぜ合わせ、ASR式のエンベロープでコントロールすることが出来ます。ノイズでこれだけのパラメータを備えれば、ノイズ成分だけでアタック部分のサウンドやクリック音、SEの音源など、オシレーターとは独立して音を作る事が出来るので、モジュラーシンセのノイズモジュールのように多彩な効果を付加することが出来ると思います。
ミキサー
Moog Oneのミキサーも重要な役割を果たしています。Mini Moog と操作性が同じように、縦にボリュームがソースごとに並び、フィルターに送る信号のボリュームを決定します。
オシレーター1~3、RING MOD、NOISE それぞれの信号を、2つのフィルターに送る事が出来ます。SVF(ステート・バリアブル・フィルター)とLADDER(ラダーフィルター)、この2つのフィルターのボタンをそれぞれオン、オフで制御するとてもわかりやすいユーザーインターフェースだと思います。両方のボタンをオンにすることで、二つのフィルターに信号を送り、フィルター側でそれぞれのルーティングすることが出来ます。
2種類のアナログフィルター
Moog One には、ステート・バリアブル・フィルターとラダー・フィルターの2つのアナログ・フィルターを装備しています。この二つのフィルターは、ミキサーから送られた信号をパラレル(並列)または、シリアル(直列)に接続して使用することが出来るので、2つの特徴の違うフィルターを使って、細かい音の加工をすることが出来ます。
ステート・バリアブル・フィルター
2基の12dB/Octフィルターが1つのフィルターとして動作する仕様になっています。
フィルターとしては、ソリッドな切れ味のいいフィルターで、バンドパス、ノッチなど、ラダーフィルターにはない特徴あるフィルタータイプを持っています。
フィルタータイプ:ローパス、ハイパス、バンドパス、ノッチ
スロープ:12dBまたは24dB
カットオフ
レゾナンス
キートラックはエディットページで指定可能
ラダー・フィルター
Moog 伝統のラダー・フィルターが搭載されています。暖かさがあり、レゾナンスピークも独特のサウンドになります。
フィルタータイプ:ローパスまたはハイパス
スロープ:6dB、12dB、18dB、24dB
カットオフ
レゾナンス
キートラックはエディットページで指定可能
カットオフ・モジュレーション
フィルターのカットオフ・モジュレーションはフィルターとは別のセクションでまとめられ、EG AMT(エンベロープ・アマウント)、LFO AMT(LFOアアウント)、FM AMT(FMアマウント)の各パラメーターをツマミで素早くコントロールする事が出来るので、とても操作性がいいと思いました。
エンベロープ(ENVELOPE)
エンベロープは、フィルター・エンベロープ、アンプ・エンベロープ、モジュレーション・エンベロープと、3系統のエンベロープ搭載しています。
DAHDSR 方式のエンベロープになっていて、ADSR はパネル上のツマミを使って操作し、その他の細かなパラメーターはエディットディスプレイ側で設定できる仕様になっています。
・ディレイ
・ホールド
・各ステージのカーブ設定など
マルチトリガリング、ループ、ラッチ、シンクの機能は、ボタンで指定できるようになっています。また、モジュレーションのデスティネーションのボタンもそれぞれのセクションに付いているので、モジュレーションをアサインする時に、操作が凄く楽だなと感じました。
LFO(LOW FREQUENCY OSCILATOR)
LFOは4系統搭載しています。LFOの波形はボタンで選択しますが、センターディスプレイでは、もっと詳細なパラメーターをエディットをすることが出来ます。
詳細エディットは、セクションの右上にある「EDITボタン」を押すことで、ディスプレイが瞬時にLFOのエディットモードになり、詳細なプログラミングが可能になっていて、これだけのパラメーターがあればモジュラー並みにSEやSFXのサウンドメイクに活かせます。
もちろん、デスティネーションのボタンも用意されているので、モジュレーションのアサインがとても楽に出来ます。
シンセエフェクトとマスターエフェクト
シンセ・エフェクト
1つのサウンドを構成する最大3つのレイヤーパート、SYNTH1、SYNTH2、SYNTH3 それぞれに使用可能なインサート・エフェクトです。
マスター・エフェクト
3つのレイヤーパート全体に対してかかるマスターバス・タイプのエフェクターです。高品位なEventide®社のリバーブは、マスター・バスでのみ、使用可能になっています。
アナログ信号と搭載されるエフェクター
シンセ・エフェクト、マスター・エフェクトそれぞれのエフェクトは、アナログのMoog Oneの音をデジタル信号処理していますが、エフェクトをバイパスしている時は、A/D変換のない100%完全なアナログ信号で出力される仕様になっています。ここにもアナログへの拘りを感じます。
シンセ・エフェクト/マスター・エフェクトで使用可能
DELAY,
STEREO DELAY,
PING PONG,
BBD DELAY,
TAPE DELAY,
ECHO
FLANGER, STEREO FLANGER, CHORUS, DUAL CHORUS, ENSEMBLE, STEREO CHORUS, 6 STAGE PHASER, 12 STAGE PHASER, TIME PHASER
BIT CRUSHER, RESONATOR, 10 BAND VOCODER, 16 BAND VOCODER
マスター・エフェクトのみ
EVENTIDE® ROOM
EVENTIDE® PLATE
EVENTIDE® SHIMMER
EVENTIDE® BLACKHOLE
アルペジエーターとシケンサー
アルペジエーター
もちろん、最近のシンセには必ずと言ってもいいほど搭載されているアルペジエーターが搭載されています。
アルペジエイターは、レイヤー可能な3つのシンセパート毎に1つ設定することが出来ます。パネル上では、アルペジエーターのON、OFFボタン、OCTAVE ORDER(オクターブをシフトしながら再生)、PENDULUM(再生・逆再生)、RATE、OCTAVE(1,2,3,4)、DIRECTION、PATARNでが設定することが出来ます。その他の細かいパラメーターは、エディット・ディスプレイのパラメーターで設定するようになっています。
シーケンサー
Moog Oneには、アルペジエーター以外に、シーケンサーも搭載しています。シーケンサーも、レイヤー可能な3つのシンセパート毎に1つ指定することが出来ます。
ステップシーケンサーは、16ステップを4つのページで64ステップ、指定することが出来ます。
レイヤーとボイスモード
レイヤー(ティンバー)
Moog Oneのサウンドは、最大3つのレイヤー(ティンバー)で作ることが出来ます。それぞれのシンセサウンドのパートにはシーケンサー、アルペジエーター、インサート・エフェクトを個別に使用することが出来ます。また、それぞれのパートは61鍵の鍵盤上にスプリット / レイヤーすることができます。
ボイスモード
ボイス・アロケーションと呼んでいますが、モノフォニックまたは、ポリ・ボイス・カウント(パートごとにポリフォニックを指定)、ユニゾン/モノ・デチューン(最大48オシレーターのユニゾン・デチューンは最強です)、コード・メモリーなどが指定することができます。
センターディスプレイとコントローラー
センターディスプレイは、パッチやボイスの情報、詳細なエディット情報を表示する高精細なカラーLCDディスプレイになっています。
ディスプレイと下に用意されたツマミ、大型ダイヤルなどの操作で、Moog ONEのサウンドをコントロールします。
コントローラーもピッチベンド、モジュレーション・ホイール、XYパッド、ポルタメント、OCTAVE(トランスポーズ)をFatarの61鍵、ベロシティ、アフタータッチ対応のキーボード左に備えています。
バックパネルの入出力
バックパネルに用意されたインプット、アウトプット、インターフェースも現在考えられるほぼ全てのインターフェースが装備されています。
デモ&レビュー映像
このように、Moog Oneにはアナログシンセサイザー本来の機能やサウンド、現代のテクノロジーによる拡張された機能、それを使いこなす詳細なエディット用のカラーディスプレイなど、Moogのアナログ・ドリーム・シンセサイザーの名にふさわしい機能をたくさん装備しています。
そのサウンドとパフォーマンスを是非映像で確かめてみてください。
販売情報
Moog ONE 8Voice メーカー希望小売価格 1,168,750円(税込み)
Moog ONE 16Voice メーカー希望小売価格 1,375,000円(税込み)
Moog Oneは、受注生産になります。(2019/10/10現在)