ALESIS ion

今回は、ALESISが販売していた近未来的型デザインのバーチャルアナログシンセサイザーionを紹介します。


ionは、今となっては販売終了となってしまいましたが、弟分の現行機種micronもそのデザイン性やサウンドがion互換であるため出音が優れていると言うこと、おまけに低価格であることなどから、一部のファンでは人気の商品です。 パンチのあるそのサウンドは、クラブDJ、テクノ系などに根強い人気があります。


特徴は、ALESIS独自開発のDSPを採用して作られたアナログ・モデリングのシンセサイザーです。リアルアナログシンセサイザーを現代に蘇らせたAndromedaA6の開発チームがionの開発にも関わったというのも興味深いです。デザインも、シンセサイザーのデザインでは有名なAxel Hartmannという方がデザインしているということで、名前を見て気づく方はシンセサイザーに詳しいと思いますが、Hartmannというメーカーで、NEURONというシンセサイザーのデザインをした人です。

ここで、ちょっとしたTipsを。 最近では、AccessVirusシリーズやWaldorfのシンセサイザー、ArturiaのOriginなどもこの人のデザインによるものなのです。 有名かつ、個性的なシンセサイザーのデザインに関わっているすばらしい方ですね。その洗練されたデザインは、意外にもみなさんは何気に良く目にしているのです。

さて、ionの特筆すべき特徴としては、カスタムDSPの処理速度を強調しているだけあって、つまみを操作したときの寸分の遅れも感じさせないパラメータ数値の追従感、リアル感、エンベロープの計算速度が速いからだと思うのですが、音の立ち上がりの速さ。これが、パンチのある音の秘密だと思います。

エンベロープは、ADSSR方式で、3基搭載しています。 フィルター、アンプ、ピッチなど、自由にアサインできます。

Envelope
エンベロープ設定ページ

スペック的には、3つのオシレータで8ボイス。これを4つのマルチティンバーとしてもパッチを組み上げることが出来ます。 パッチを保存するプリセットメモリも128メモリを1バンクとして、4つのバンクで512と、十分なエリアが用意されています。

4つの各バンクは、red,green,blue,userと、カラーで表現されていますが、これに深い意味はないようです。

Program Bank

3基搭載されているオシレータには、シンクはもちろん、FM、ウェーブシェイプまで搭載していて、それぞれの波形を自由にシェイピングすることが出来るなかなかハードシンセとしては珍しい機種です。

オシレータセクション
オシレータの波形表示(shapeツマミでシェイピング可能)

その他、アルペジエータやボコーダーエフェクトなど、シンセサイザー以外の機能も豊富に搭載しています。

アルペジエータと2基のLFOセクション
エフェクトページ

なんと言っても、一番特徴あるのはフィルターセクションでしょう。 シンセの音色を決める重要なセクションですが、このフィルターが2系統搭載されています。 このフィルターのバリエーションがすばらしい!

2基のフィルターセクション

その数は20種類と、最近のソフトウェアシンセではよく見られるようになってきたバリエーションですがハードウェアのシンセでここまで多くのフィルターバリエーションを搭載したシンセサイザーは記憶にないです。 往年の名機のフィルターをシミュレーションしたものも搭載されていて、MiniMoog、Oberheim、Jupiter・・・この名前を見ただけでも十分でしょう。

フィルターのバリエーション

  • mg 4-pole lowpass/ob 2-pole lowpass
  • ob 2-pole bandpass/ob 2-pole highpass/
  • rp 4-pole lowpass/
  • tb 3-pole/ lowpass/
  • jp 4-pole lowpass/8-pole lowpass/
  • op 4-pole highpass/
  • 8ve dual bandpass/6-pole bandpass/
  • phase warp/comb filter 1/
  • comb filter 2/comb filter 3/comb filter 4/
  • vocal formant 1/vocal formant 2/
  • vocal formant 3/bandlimit

もう、これだけだと何が何だかわかりませんが、シミュレートされたフィルターは一部の文字にそのキーワードが含まれているので、何となく想像できますね。

フィルタータイプ選択ページ

このフィルターが2系統、オーソドックスなタイプからビンテージ系、formant系、comb系、phaseまで、幅広いタイプが搭載され、全てのタイプを把握して音を作るとなると想像を絶するバリエーションの音になるでしょう。

映像では内蔵されているプリセットを中心にサウンドデモとして流していきました。 その中でも、この特徴あるフィルターを使って作られた音は、今までにあまり聞いたことがないような音が多くありました。 フィルターカットオフにアサインされたWheelと併用することで、ほんとに個性的なサウンドを出すことが出来ます。とにかく、個性が際立ってます!

シンセサイズの操作に便利なツマミの数も多く、パラメータの情報が表示される中央の液晶も大型で見やすいです。 モジュレーションもマトリクス形式になっていて、自由にアサインできるので、これはまさに、音作りを楽しむためのシンセサイザーですね。

シンプルなエディットパネル周辺

パートセクションでは、4つのプログラムをパートにアサインして音を組み立てることが出来ます。

発売当時の定価が138,000円と、ハードシンセとしては比較的低価格ながらシンセサイズに一切の妥協がない個性的なシンセサイザーで、とにかくツマミをリアルタイムで触っていて音の変化が楽しいです。


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