Arturia Origin #2

ARTURIA(アートリア)のOrigin(オリジン)がやっと日本市場にお目見えです。

以前のオフィシャルレビューでは、当時開発中のOriginを紹介しましたが、今回は製品として出荷されたOriginの登場です。

私自身も開発元のARTURIAとは当初より深い親交があり、長くOriginの開発やプリセット音色制作にも携わっていたので喜びもひとしおです。

TAE(トゥルー・アナログ・エミュレーション)という素晴らしい技術を得てビンテージシンセの復刻で名を馳せたARTURIAが、次の革新的な商品を開発するにあたってマーケットリサーチした結果、多くのユーザーがPCM系サンプリング音源の次に本格志向のアナログシンセサウンドを強く求めているという事実が判明し、一大決心の上、TAE技術による本格的ハードウエアシンセを開発するに至ったのでした。

そこでアートリアが目を付けたのが、超強力DSPであるTigerShark。

通常、バーチャルアナログのハードウエアシンセはSharkというDSPを1基積んでいます。OriginはSharkの2倍の性能を持つTigerSharkを2基搭載している点からも、ARTURIAの本気度が分かりますよね。実際、ここまでできるの?というくらい素晴らしい性能を発揮しています。

Origin大解剖

では、フロントパネルを見てみましょう。

各セクションの説明

① インプット・レベル:リア・パネルの入力端子からの入力レベルを調整します。

② ジョイ・スティック:3系統のX軸/Y軸でのコントロールが可能です。すべてのプリセット音色にはジョイ・スティックによる過激な音色コントロールがアサインされています。

③ オシレーター、フィルター、LFO、エンベロープなどアナログシンセの基本的操作が可能です。

④ TFTカラー液晶ディスプレイ:視認性の素晴らしく大型なので、多くの情報を表示できます。

⑤ モード切り替えボタン:プログラム、マルチ、エディット、シーケンサーなど基本モードを切り替えます。

⑥ テンキー・ボタン:音色切り替えや、数値の変更などに便利です。

⑦ 大型ロータリーエンコーダー:回すとクリック感があるので扱いやすい。押し込むとことでエンター(実行)もできます。

⑧ ミキサー・エリア:マルチモードでは4つのプログラムを同時に使用可能ですが、ここで音量バランスを調整できます。

⑨ エフェクター・エリア:同時に3系統の高品位エフェクターが使用可能です。

⑩ ステップ・シーケンサー・エリア:同時に3系統の32ステップ・シーケンサーを使用可能で、つまみ下の16個のボタンにより瞬時にシーケンス・パタンを切り替え可能です。リアルタイムでのDJプレイに最適。

⑪ アーム・レスト:サイドの木枠とともに取り外し可能です。


Originを一言で表すとすれば、「現代版モジュラーシンセサイザー」。昔のモジュラーシンセサイザーは、各モジュールを木枠に埋め込み、パッチケーブルで接続していました。

Originでは、画面上にモジュールを並べ自在に接続します。

モジュールの種類はオシレーターやフィルターとしてミニモーグ、プロフェットVS、ジュピター8、CS80、Originオリジナル、ミキサーやエンベロープ、LFOなど多彩なラインナップがそろっています。

まあ、この枠内で自分でオリジナルのシンセサイザーを設計するイメージです。もちろん組み合わせは無限。。。シンセ好きにはたまらないでしょうね。

ステップ・シーケンサーの画面は秀逸でとても分かりやすく表示されます。棒グラフで各ステップを表すのはナイスアイディアです。

音色セレクトも様々な検索方法(カテゴリー別やタイプ別など)が可能なのでスピーディーに目的の音色を選択可能です。また、Origin Connectionというソフトウエアが同梱されており、PCとUSB接続することでプリセット音色やシーケンスパターンの一元管理も可能です。

もちろん、一からシンセを作るのは面倒くさいという方にはテンプレートも用意されています。

たとえばminimoogテンプレート。

もちろん、パネル上のつまみが画面のつまみとしっかりリンクしているので、とても使いやすい!

さらにうれしいことに、今後のバージョンアップで、これらのテンプレートも無償です。

CS80テンプレート

Jupiter8テンプレート

Drawber Organテンプレート

ところで、マルチモードにて音色をレイヤーしたりスプリットしたり、4つまで同時に使用可能なのですが、オシレーターを多数使用したプログラムを4つ重ねても全く問題なく演奏できます。通常PCにて重そうな音色を4つ立ち上げて演奏すると、CPUに過大負荷がかかり音がならなかったり、ノイズになったりしますが、Originではビクともしません!!素晴らしい!!

このようにOriginは現代に蘇った他のシンセとは一線を画するスーパー・アナログ・モジュラー・シンセサイザーです。

シンセ好きはチェック必須です。(欲しくなるよ~~)シンセ初心者にとってもつまみが多そうで難しそうに感じるかもしれませんが、実は他のシンセにありがちな階層構造になっていないので、ある意味シンプルなのです。ステップ・シーケンサーはDJプレイでは威力を発揮するでしょう。

そうなんです。ある意味このOriginは万人向けの超高性能進化型シンセサイザーなのです。

次に控えるOrigin Keyboardも超カッコイイ!!さすが、おフランスのデザインざんす。

ムービーでは、Originを音と映像で徹底解剖しています。

ぜひその凄さを体験してください。

オフィシャルレビューHD版について

ミュージックトラックのオフィシャルレビューHD版では、映像はPanasonicのLumixのGH1を使用してハイビジョン映像を記録し、音声はマルチトラックでZOOMのR16を使用してデジタルレコーディングを行い、それぞれの素材をもとに映像編集しています。

さらにおすすめ

Sonicprojects OP-X PRO

モーグ、プロフェット、アープ、ジュピター、CS80・・・往年の名機たちがソフトウェアベースで再現される中、オーバーハイムのシンセサイザーだけは、なかなか再現されることがありませんでした。 OB-X、OB-Xa、OB-8など、オーバーハイム往年の機種のサウンドは、プリンス“1999...

XhunAudio IronAXE

今回ご紹介するのは、フランスのXhun Audio(ヒュン・オーディオ)社による “IronAXE (アイアン・アックス)”です。 物理モデル技術によるエレクトリック・ギターのエミュレーション・ソフトウエア音源です。その精度とサウンドのクオリティは、ホントに素晴らしい!エレキギタ...

Waldorf Microwave XTk

Waldorfと言えば、近年ではblofeldとともに見事に復活したドイツのシンセサイザーメーカーです。Waldorfの歴史は、第2回のオフィシャルレビューで紹介したので、今回はこちらのMicroWaveXTkの紹介を中心に、レビューします。 MicroWaveXTシリーズは、...

Arturia minimoog V2.0

アートリアのminimoog Vがバージョン2.0になって登場!シンセ好きは絶対避けて通れないビンテージ・アナログシンセの銘機中の銘機minimoogを完全ソフトウエア化し、あのモーグ博士も認めたその実力はどう進化したのか!? まずは実機を見てみましょう。 これは、アートリアが...

ZOOM ZFX 導入編

皆様はじめまして。永野啓司と申します。これから4回にわたってZOOMから発売されたZFX Packageについてのレビューをお届け致します。なるべく簡潔で分かりやすい文章を目指しますので、最後までお付き合い宜しくお願い致します。 What’s 「ZFX Package」? まず、...

ARTURIA V Collection 6

ARTURIA 定番のパッケージ・ソフトウェア、V Collection がバージョン6となって登場しました。今回のバージョンから新しいインストゥルメント、DX7 V , Buchla Easel V , Clavinet V , CMI V、この4つが追加さ...

もっと記事を見る

page top