ACCESS VIRUS TI SNOW

AccessVIRUSシリーズは、ヴァーチャルアナログによるモデリングのシンセサイザーとしては後発のドイツのメーカー、シンセサイザーです。

この分野で有名な他のメーカーとしては、WaldorfやCLAVIA の Nord Leadがあります。そのどれもが個性的な海外のメーカーであり、世界的にも各メーカーの製品にはプロ、アマ問わず根強いファンがいます。

VIRUSシリーズは、VIRUS A/B/Cと、時代とともに進化し、現行モデルのTIシリーズに至っています。VIRUS A、Bシリーズは、黒いボディに赤いブロックのカラーが特徴でした。また、OSのバージョンアップに伴い機能やスペックが拡張されていくのも特徴です。Cシリーズになると、黒いボディに赤いLEDが各所に散りばめられ、その独特なデザインはNord Leadの真紅とは対称的でした。

B/Cシリーズには、シルバーボディに青いLED、コンパクトな37鍵が特徴のINDIGOと呼ばれるコンパクトな鍵盤付きのモデルが登場し、他のモデルと同じスペックを搭載するなどその筐体の大きさ、デザインのインパクトはとても大きいものでした。

現行モデルであるTIシリーズになると、機能のアップ、DSPのパワーアップのみならず。オシレータにWAVETABLEの搭載、トータルインテグレーションと呼ばれるPCとの連携、AUDIOインターフェースの搭載など、数多くの斬新な新機能を搭載して登場しました。

その他、VIRUSには、Plug-inによるソフトシンセサイザーもシリーズとして存在し、ProtoolsのTDM版、TC PowerCore版など、アナログシンセサイザーのソフトウェアによる制御の特徴を大いに発揮して各分野に展開しています。

WAVETABLEの搭載に関しては、同じドイツのメーカーであるWaldorfの経営破綻によりその一部開発者がACCESS社に行ったことにより、Waldorfの特徴でもあるWAVETABLEが搭載されたと言われます。もちろん、WAVETABLEに搭載される波形は違うものになっています。

さて、今回発売されたVIRUS TI SNOWは、TIシリーズのほぼ全てのスペックを搭載し、DSPパワーを抑えた形かつ、筐体を最近流行のデスクトップポータブルの形にして登場しました。価格的にもかなり挑戦的な価格帯に設定されています。

同じようなスペックの競合は、もちろん同じドイツのWaldorfのblofeldやCLAVIAのNord Lead 2X、KORGのRADIASといったモデルになるでしょう。

デザインもシンプルかつ、必要最低限のパネルレイアウトで、全てのパラメータを6つのツマミと21のボタンスイッチでアクセスできます。また、SNOWホワイトの筐体の一部に木目パネルを使うなど、とても高級感ある作りにもなっています。

さて、TIシリーズの特徴とも言うべき、トータルインテグレーションについて説明してみましょう。

TI SNOW(以下、SNOW)は、背面パネルにあるUSBインターフェースからMac またはWindows PCのUSB端子にケーブルで接続しておくことによって、コンピュータとの連携・連動が可能になり、全てのコントロールをPC側で毎回設定することなく制御することが出来るようになります。

また、VST/AUのプラグインとしてDAWソフトから認識してくれるのです。

これは使ってみるとわかりますが、ハードウェアを外に置いたまま全てをDAWやエディターからまるでプラグインのソフトシンセサイザーを扱うように制御できるので、非常に便利です。もちろん、プリセットプログラムの選択やエディットなども行え、そのままの状態がPC側(DAWの設定の一部として)にソング別にセーブされます。次回、そのソングを開いたときには前回と同じ状態でSNOWが設定されているわけです。これは、非常に便利です。

次に、VIRUS TI SNOWのスペックを紹介します。

基本的なスペックは、現行機種であるVIRUS TIを踏襲しています。パワーを若干ながら下げつつも、機能を削らないスペック、仕様は好感が持てます。

オシレーター
1ボイスあたり3つのオシレータを装備し、別に1つのサブオシレーターを使用することも可能です。オシレータをWAVETABLEとしても使うことが出来ます。太い音を発するHyperSawは有名ですね。

フィルター
2つの独立したフィルターを装備し、直列や並列などの使い方が出来ます。(MiniMoogの)アナログフィルターをシミュレーションしたモードも装備されています。

LFO
3つのLFOを装備し、モジュレーションマトリクスにより自由にアサインすることが出来ます。

プリセット数
RAM:512、ROM:512、トータルで何と1,024ものパッチサウンドを搭載。また、マルチパッチとして64のプリセットサウンドも設定可能です。マルチパッチは、パッチをレイヤー(重ねて)して、1つのプログラムとして発音させるパッチです。

同時発音数
10~50音。これは、パッチをプログラミングした際のDSPパワーに依存します。オシレータ、フィルター、エフェクターなど、その機能をふんだんに使用するとDSPパワーを消費するため、その分ボイス数が減っていくという仕組みです。

ここからは、先に説明したスペック、トータルインテグレーションを実現するVIRUSのソフトウェアの画像をもとに、紹介します。

DAWソフトからの連携画面

TI SNOWのプラグインを立ち上げると、まるで他のソフトウェアベースのVSTiプラグイン同様に認識します。起動時にハードウェアとのシンクロ(同期)している最中の画像です

イージーモードで立ち上がったVIRUS TI SNOWのインターフェース画面

エディットが簡易的に出来るイージーモードから、各コントロールセクションを詳細に設定、プログラミングするエキスパート向けのページまで非常にわかりやすく、良くできています。


パッチブラウザーの画面

ここで膨大な数のパッチプログラムを選択することが出来ます。パッチは、カテゴリーによる絞り込みにも対応しているので、イメージした音を探すのに非常に便利です。左側の4つのブロックは、マルチティンバーの指定で、4つまでのパッチを一斉に鳴らしたり、別々のMIDIチャンネルで鳴らしたりと自由にコントロールできます。


オシレータセクション

波形をグラフィカルに見ることもできます。SNOWは、ハードウェアのためホストPCのCPUパワーを消費しないので、様々な情報を得ることが出来ます。


フィルターセクション

2つのフィルターを別々にコントロール、エディットできます。エンベロープもグラフィカルに表示され、ミュージックトラックのMT-1をイメージできますね。


LFOセクション

3つのLFOをエディットできます。こちらもLFOの波形がグラフィカルに見ることができます。


モジュレーションマトリクス画面

VIRUSの特徴でもあるスロットと呼ばれるモジュレーションマトリクスがとてもわかりやすくルーティングできます。モジュレーションのルーティング(接続)は、変調元、変調先、変調する量を視覚的に選択、設定すればいいだけなので、使いやすいです。


エフェクト画面

VIRUSの抜けのいい高品質のリバーブや、ボコーダーなど、エフェクトを設定する画面です。ハードウェアならではの種類の豊富さです。

いかがでしたでしょうか?ハードウェアであるメリットを最大限に生かし、かつ、ソフトウェアにより操作性を向上させるこの仕組みは、今後のハードウェアの標準的な機能になってくると思います。

それをいち早く実現したACCESS VIRUS TIシリーズ、そして今回の新機種であるSNOW。ハードウェアシンセサイザーとしての音や機能だけではなく、ソフトウェアによる連携などの先進性も兼ね備えた本格的なシンセサイザーです。

映像では、SNOWのオペレーション、パッチプログラム、マルチモードのバッチを中心に、デモ演奏を収録しています。

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