Steinberg Cubase 5

「Cubase 5」は、皆様ご存じ、スタインバーグの最先端 DAW = デジタルオーディオ ワークステーションです。

そして・・・「Cubase 4」から2年の時を経て、ついに「Cubase 5」が登場しました。とかくバージョンが上がると莫大な機能が追加され、初心者はもちろん、もともとのCubaseユーザーにとっても、ついていけない状況になりがちですが、今回のCubase 5は基本性能の向上はもちろん、飛躍的に便利になり、初心者にとっても「これなら私にも使いこなせそう」、「この機能を待っていました」、「これは面白そう」的な進化がとても好感を持てます。実際に私自身も「Cubase 5」の面白さ、便利さにどっぷりハマってしまいました~!

今回のレビューでは、特にこの「Cubase 5」にて追加された新機能について紹介しましょう。

オーディオ編集の新兵器「VarAudio」と「Pitch Correct」

もともと、Cubaseはオーディオ編集能力の高さで有名でしたが、今回の新機能「VariAudio(バリオーディオ)」と「Pitch Correct(ピッチコレクト)」はスゴすぎます。

「VariAudio」ですが、ごく普通のオーディオトラックが、以下のように変化します。

1.録音されたオーディオトラック(サンプルエディター画面)です。この状態はごく普通のオーディオデータの見え方ですね。この画面でも普通にサンプル波形のエディットが可能です。ちなみに、このオーディオは女性ボーカルパートの波形です。

2.「VariAudio」処理(ピッチ&ワープを押すことで変換)後の画面。なんと!分析されたピッチが、ピアノロール状に視覚的に表示されます。

3.「ピッチ・クオンタイズ」処理後の場面。上記の状態だと微妙に音程がずれているのが分かりますが、完全に音程を平均率上のピッチに合わせ込むことが可能です。

これで、どんなに歌が下手でも、抜群の音程間で歌わせることができます。

4.さらに「なめらかピッチ曲線」を右方向に動かすと、歌唱時のピッチの揺れ(ビブラート等)が無くなります。ロボットボイスっぽい感じは簡単に作れますよ。

このようにオーディオデータを簡単に料理できてしまいます。当然、オレンジやブルーで表示されているブロックをマウスでドラッグするという手軽な操作で音程を変えたり、音の長さを変えるのも自由自在。もちろんアンドゥが効くので、ガンガンにクリエイティブに使っちゃいましょう。さらにMIDIデータとして抽出することも可能です。

「Pitch Correct」は、ボーカルをはじめとする単音パートに対し自動、または MIDI を使ったピッチコントロールが可能です。ヤマハの「SOL」に搭載されていた Pitch Fix テクノロジーを Cubase に最適化し、大胆かつ繊細にピッチ補正が可能です。さらに個々の音のピッチを MIDI キーボードからインタラクティブにリアルタイムコントロールすることも可能なので、ライブでも大活躍しそうです。

オレンジが元オーディオのピッチ、ブルーがピッチ補正されたオーディオです。非常に洗練されたインターフェイスで、とても素晴らしい!

では、この「VariAudio」、「Pitch Correct」の機能紹介ムービーをご覧ください。音と映像だと、その面白さやクリエイティブさが、よーく分かります!

リズムトラックの可能性を思いっきり広げてくれる新機能

曲の要はもちろんリズムセクション。Cubase 5には、リズムトラックの制作に凄い新兵器が加わりました。

まずは、「Groove Agent ONE(グルーブエージェント・ワン)」を紹介しましょう。

強力なドラムサンプリング音源の VST3 インストゥルメントです。アコースティック、アーバン、ヒップホップドラムキットなどのライブラリが40種類以上付属し、ループスライスやWAVファイルをパッド上にドラッグ&ドロップするだけでも即スタンバイOKです。

さらにこの「Groove Agent ONE」とベストマッチングな「Beat Designer(ビート・デザイナー)」

見ての通り、ステップレコーディングの画面なので、とても簡単ににドラムパターンを作成可能です。また、様々なジャンルのビートが同梱されており、下部の鍵盤エリアでバリエーションパターンも切り替え可能です。まさにビート・デザイナーの名にふさわしい機能です。

次の「LoopMash(ループマッシュ)」には私、完全ノックアウト!これはスゴすぎる!!

ヤマハとの共同開発による革新的なオーディオ分析/シンセシスエンジンにより、「LoopMash」上のオーディオ素材の周波数特性やスペクトル、テンポ感などによって、波形の切り刻みや混ぜ具合などを再構築して新たなビートがバシバシ生成できてしまうのですが(もちろん斬新なプリセットも満載、要チェック)、これは、文面で説明してもよくわからないだろーなぁ(笑)。当然です。ぜひぜひムービーにてご確認ください!

抜群の表現力「VST Expression」と超高品位リバーブ「REVerence」

CubaseシリーズにはHalionOne(ハリオンワン)が付属していますが、Cubase 5にはこのHalionOne用にExpression Setが加わっています。このプリセットは素晴らしい!

鍵盤のC0~F0の音域あたりに波形切り替えのスイッチがアサインされており、様々な楽器特有の奏法を表現できます。たとえば、ブラスセクションのプリセットだと、フォルテ、アタック、シェイク、フォール、グリスアップなどの奏法が用意されていて瞬時に切り替えての演奏が可能です。さらに凄いのが、スコア画面において音楽記号としてこの機能を打ち込めるのです。これはステップでの打ち込み派の方々は待ってました、という機能でしょう。

上のスコアはストリングス・パートのスコア画面ですが、スタッカートやトリル、フォールダウンや強弱が完全に再現されます。

この「VST Expression」はスタインバーグの超高品位オーケストラ・ライブラリーの「Halion Symphonic Orchestra(ハリオン・シンフォニック・オーケストラ)」でも有効で、Cubase 5には試用版も付属しています。

さらに凄いリバーブ(残響)エフェクター「REVerence(レベレンス)」も追加されました。「REVerence」は、空間の音響特性を「サンプリング」し、世界有数のスタジオやコンサートホールのサウンドを再現できます。70箇所以上のプリセット(ステレオ+サラウンド)を内蔵しており、インパルス・レスポンスデータのインポートにも対応しています。このリバーブクオリティは想像を絶します。特にサラウンド環境では、実際の聞こえ方と同様の完璧な空間を作り出せます。

では、「VST Expression」と「REVerence」のムービーをご覧ください。

いかがでしたか、Cubase 5?

他にも嬉しい機能として、「バーチャルキーボード機能」が追加され、PCのキーボードでも演奏が可能です。

また、「テンポ/拍子トラック」の追加も嬉しいですね。

さらに、「オーディオミックスダウン書き出し」画面の左上に追加された「マルチチャンネルの書き出し」は、Cubase以外のDAWとの連携、データの共有に超便利です。

このように、「Cubase 5」の進化は、“エキスパートにはより便利に、初心者にはより簡単に”という両立を完全に実現したと言えるでしょう。皆さんも「Cubase 5」、ぜひお試しを!!

さらにおすすめ

SONAR Online Seminar Users' Reviews

ミュージックトラックでは、ROLANDさんのご協力のもと、「ROLAND ONLINE SEMINAR」の受講モニターを募集しました。 当選したユーザーさんのモニター受講期間も終わり、実際に使ってみた感想など、SONARのオンラインセミナーを受講したユーザーレビューをお届けしま...

Steinberg CC121

こういうコントローラーを待っていました!やるぜCC121! 「CC121」は、スタインバーグとヤマハの共同開発によるCubase専用コントローラー。ソフトウエアの雄“スタインバーグ”の抜群のアイディアと、ハードウエア製造の雄“ヤマハ”がコラボすると、このような素晴らしいプロダクツ...

Waldorf blofeld

Waldorfと言えば1980年代にウェーブテーブル方式のシンセサイザーであるPPGWAVEをこの世に送り出し、今もなおその独特なモーフィングサウンドはPCM音源等で再現されています。 PPG以降、ウェーブテーブル方式も進化を遂げ(MicroWave, MicrowaveII...

Quicco Sound mi.1 Cable

以前、musictrack で紹介した Quicco Sound mi.1 の後継、 mi.1 Cable が出ました。旧モデルから大幅に機能がアップされて新たに登場した mi.1 Cable を紹介します。

MODARTT PIANOTEQ

メイン画面は見ての通りとてもシンプル。 1. プリセットされた様々なピアノを選択できます。2. 選択されたピアノの構造を、ボタンを押すたびにランダムに変化させることができます。3. ピアノに張ってある弦のチューニングに関するセクションです。4. 弦をたたく部分であるハンマーの固...

YAMAHA DX-5

今回紹介するのは、デジタルシンセの元祖YAMAHA DXシリーズの中堅モデル「DX5」です。 1980年代初頭、アナログシンセ全盛時に突如登場したFM(フリキュエンシー・モジュレーション)音源という、未知のデジタル方式によるシンセサイザーとしてあまりに有名なDXシリーズ。

もっと記事を見る

page top