Arturia Analog Experience THE PLAYER

さて、今回紹介するのはアートリアの「Analog Experience THE PLAYER」です。斬新なアイディアによるユーザーインターフェイスとウォームで太いアナログシンセ・サウンド、しっかりしたキーボードコントローラーに惚れぼれしてしまいました。

さらに値段に超ビックリ!(皆さん、お近くの楽器店やWEBでご自分で調べてみて~。)

まずは「Analog Experience THE PLAYER」のハードウエアを見てみましょう。


筐体はアルミ版、サイドは木製パネルを使用しているため結構重たく、演奏中でもしっかり固定され安定ド抜群です。ベロシティ付き2オクターブ25鍵の鍵盤、ロータリーノブ、ボタンとも安っぽさのかけらもありません。特筆すべきは左端のジョイスティックで横方向でピッチベンド、縦方向でモジュレーションをコントロールできます。


上記のノブ/ボタンは、すべて2つの役割を持っており、右端の「SHIFT」ボタンを押すことで白バック/黒文字のパラメーター操作となります。すなわち右端の「-、+」ボタンで見てみると、通常は「OCTAVE」機能でオクターブを上下に変化できますが、「SHIFT」ボタンを押すことで「PRESET」機能となり、プリセットを順次選択できます。よくできていますね。

背面には、MIDI OUT端子、USB端子とともにこのサイズのMIDIキーボードには珍しくサスティン・ペダルも搭載しています。実は結構重宝するんです。USB接続時はバスパワー供給ですが、MIDI接続時はDC INに電源アダプターをつなぎ、右端の電源ボタンを押します。

では、「Analog Experience THE PLAYER」のソフトウエアを見てみましょう。


<クリックで拡大>

下部が見事にハードウエアと一致していますね。ノブが8つあるのは、ハードで「SHIFT」ボタンを使用することで「FILTER/FX MIX」と「ENVEROPE」にアクセスできます。

さて、「Analog Experience THE PLAYER」の素晴らしいところは、アートリアが今まで培ってきたアナログシンセサイザーの構造と出音を完全解析することに成功したTAE(トゥルー・アナログ・エミュレーション)技術による往年のビンテージ・アナログ・シンセサイザーのサウンド・エンジンを使用できる点です。

その往年のビンテージ・アナログ・シンセサイザーとは、以下の7機種となります。


●Moog Modular V2


●CS-80 V


●minimoog V


●ARP2600 V


●Prophet V


●Prophet VS(Prophet Vとハイブリッド)


●Jupiter-8V


これらのプロダクツから厳選された1,000音色が搭載されています。もちろん全ての音色をチェックしましたが、それぞれの単体パッケージ商品と全く同じ音がします。(当たり前か)


音色の選択方法は、素晴らしいユーザーインターフェイスが目的の音色へ素早く導いてくれます。「INSTRUMENT」でシンセサイザーそのものを7つのサウンド・エンジンから、または、その下の「TYPE」から選択します。

「TYPE」は実に細かく細分化されています。例えば、「TYPE」で「BASS」だけを選んだ場合、ブラウザー上には7つのサウンド・エンジンによるすべてのベースのみが表示されます。もちろん、複合検索として「MINIMOOG V」と「LEAD」を選ぶと、「MINIMOOG V」によるリードのみがブラウザー上に表示されます。

プリセットは1,000音色ですが、ノブを回して自分の好みにエディットした音色を「USER PRESET」として保存でき、さらによく使う音色は「FAVORITE」(フェイバリット=お好み)音色として登録しておくこともできます。

さらに私が感心したのは、「SNAP SHOT」(スナップショット)機能。


任意のプリセットをこの4つのボタンに登録できます。やり方は簡単で「SHIFT」を押しながら「1,2,3,4」のどれかのボタンを押すだけです。登録後はダイレクトに「1,2,3,4」のボタンを押すだけで瞬時に登録したプリセットに切り替わります。これはライブでも重宝する事間違い無し!!

さらに「MIDI Control Center」にて、各操作子のMIDIコントロールを自在に割り当てることができてしまいます。もう至れり尽くせり。


まさにアートリアらしい、ハードウエアとソフトウエアの素晴らしい融合ではないでしょうか。

この「Analog Experience」シリーズには、今回紹介した「THE PLAYER」の他に、32鍵バージョンの「THE FACTORY」(発売中)、49鍵バージョンの「THE LABORATORY」(近日発売予定)があります。


THE FACTORY


THE LABORATORY

さらに、先日来日したアートリア社長フレデリック・ブルンから、来年初頭にはもっと斬新なアイディアによるハードウエアとソフトウエアのハイブリッド商品を登場させるとの極秘情報が....。

下の映像はその時のインタビューの模様です。


今後もますます楽しみなアートリアに、大いに期待しようではありませんか!

Analog Experience THE PLAYER



■オフィシャルレビューHD版について

ミュージックトラックのオフィシャルレビューHD版では、映像はハイビジョン映像を記録し、音声はマルチトラックでZOOM のR16を使用してデジタルレコーディングを行い、それぞれの素材をもとに映像編集しています。

さらにおすすめ

Audio Cubes

光ってます。コンピューターとつながっています。 この光る物体、というか箱。最初に見た感想は「何ですか?これ?」でした。皆さんも一緒ですよね。箱は英語でCube(キューブ)。Audio(オーディオ)に関連している箱なんだろうなぁという単純なイメージしか持ち合わせていませんでしたが...

IK Multimedia SYNTRONIK

ビンテージ・アナログ・シンセサイザー。いまだに需要はありますが、状態の良いものを見つけるのはかなり困難です。ましてや、メンテナンスや故障した場合の修理のことを考えると余程の覚悟を持たない限り、所有・維持することはできないでしょう。

Dave Smith Instruments Prophet REV2 16Voice

Dave Smith InstrumentsからProphetブランドのシンセサイザーが更にパワーアップして登場しました。以前のProphet08シリーズは、Prophetブランドの復活と、アナログサウンドの復活が話題になり、一躍人気の8ボイスのアナログ・シンセサイザーとなりまし...

YAMAHA MOTIF-RACK XS

MOTIF-XSを日頃愛用している私としては、「MOTIF-RACK XS」はラック音源としてのバリューをどう見せてくれるのか、とても気になっていました。 MOTIF-XSがMOTIF-ESと比較して音色クオリティ、機能が2倍以上アップしていたので、MOTIF-RACK ESのよ...

Steinberg CC121

こういうコントローラーを待っていました!やるぜCC121! 「CC121」は、スタインバーグとヤマハの共同開発によるCubase専用コントローラー。ソフトウエアの雄“スタインバーグ”の抜群のアイディアと、ハードウエア製造の雄“ヤマハ”がコラボすると、このような素晴らしいプロダクツ...

YAMAHA DX-5

今回紹介するのは、デジタルシンセの元祖YAMAHA DXシリーズの中堅モデル「DX5」です。 1980年代初頭、アナログシンセ全盛時に突如登場したFM(フリキュエンシー・モジュレーション)音源という、未知のデジタル方式によるシンセサイザーとしてあまりに有名なDXシリーズ。

もっと記事を見る

page top