Novation Peak
- 2019/03/14
- English version is available!
ここに注目:
- アナログ 8ボイスのポリフォニック・シンセサイザー
- 高品質なNew Oxford Oscillators と17のウェーブテーブルを採用
- アナログサウンドとデジタルサウンドのハイブリッドも可能
- 本格的なデスクトップ型のアナログ・シンセサイザー
- Bass Station II の後継、ポリフォニック版とも言えるモデル
- 8ボイスの Oxford アナログ・オシレーターを搭載
Novation の Peak は、鍵盤を持たないデスクトップ版のモデルしかありません。デスクトップ型の音源モジュールとして、鍵盤のモデルを持たない割り切った製品となっています。
ほとんどのユーザーは、すでにデスクトップ環境にキーボードもしくは、コントローラーを導入していると思うので、音源モジュールだけの方が逆に導入しやすいかもしれません。Novation は、コントローラーの SL Mk III シリーズというMIDI コントローラーがあるので、SL Mk III でフルコントロールするという環境も提案しているのかも知れません。
いずれにせよ、鍵盤付きのキーボード型シンセサイザーよりもコンパクトに設置できて、多くのツマミでフルエディット、コントロールすることが出来ます。
オシレーターやエンベロープのレイアウトも、左から右に信号が流れるわかりやすいレイアウトになっていて、スペースを惜しまずに機能のツマミを共有させることもなく、セクション毎に独立した42個のツマミと8つのスライダーがレイアウトされている作りがとてもいいと思います。
メイン・セクション
Peak の左上の部分がパッチ(プログラム)を選択したり、各種コントロールパラメータを設定するためのメインセクションになっています。中央には OLED ディスプレイが配置されていて、このディスプレイにはパッチの情報やグローバル情報、エディットパラメータなどの情報が表示されるようになっています。
パッチ(プログラム)
256 のパッチを搭載し、ユーザーパッチも 256 メモリする事が出来ます。
MENU
OLED ディスプレイの上には、メニューボタンが配置され、各ボタンに対応したセクションのパラメーター、拡張パラメーターのページを呼び出し、ロータリーノブで直接パラメーターの数値を操作することが出来るようになっています。また、演奏中 Peak の 8つのボイスの発音状態を確認出来る 8 つのLEDが装備されています。
アルペジエーター
アルペジエーターのオン、オフ、Latch(Hold) を操作します。パターンには、コード演奏が出来るのアルペジオのパターンも用意されています。
オシレーター
Peak のオシレーターは、1ボイスにつき 3つのアナログオシレーターで構成されています。3つのオシレーターは、それぞれ同じタイプのオシレーターで、波形はWAVE ボタンで5つの波形から選択して使用します。
ピッチは、Range、Cource、Fineを使って指定します。
搭載されている波形
正弦波、三角波、ノコギリ波、矩形波、Wave Table(17種類)
モジュレーション
ピッチに掛けられるモジュレーションがツマミとして用意されています。Mod Env 2 Depth と LFO2 Depth がルーティングされていて、それぞれのツマミを回すことでそれぞれのオシレーターにモジュレーションを掛けることが出来るようになっています。
また、ピッチに対するモジュレーションのソースもすぐに選択できるよう、Manual、Mod Env1、LFO1 を選択して、Source Amount でかかり具合を指定できます。
拡張パラメータ
オシレーターに関連する詳細な拡張パラメータは、MENU の Osc より設定することが出来ます。例えば、オシレーターシンクやノイズジェネレーター、ノコギリ波の拡張 Super Saw 的な波形チューンもここで指定するようになっています。
ユニゾンやボイスデチューン、ボイスパンニングなどのボイスモードは、MENUの Voice ボタンを押すことで、ボイシングのパラメータを指定することが出来るようになっています。
このように Peakでは、パネル上にない細かいパラメーターもたくさん用意されていて、MENU ボタンでディスプレイに表示することで、それぞれのモードの詳細なパラメーターにアクセス、エディットする事が出来る仕様になっています。
エンベロープ&LFO
エンベロープ
エンベロープは ADSR 方式のスライダーで、AMP 用のエンベロープと、SELECT で切替て使用するモジュレーション用のエンベロープ 1/2 が搭載されています。
ベロシティやトリガーコントロールなどの拡張パラメーターは、エディットメニュー(ENV)に用意されています。このように、パネル上にない細かいコントロールパラメーターは、ディスプレイの上にあるエディットメニューを選択することで、細かいエディットが出来る仕様になっています。
LFO
LFOは、LFO1 / LFO2 2つのLFOが搭載されています。4種類の波形をTypeで選択して使用します。Rateもレンジを指定する事が出来るタイプで、Low,High,Syncより選ぶことが出来るので、幅広いレンジのモジュレーションを掛けることが出来ます。
Fade Time も用意され、LFO モジュレーションがかかるまり始めるまでの時間をコントロールすることが出来ます。その他、LFO メニューでは、より細かな LFO のパラメーターをコントロールすることが出来るようになっているので、幅広い音作りが出来ると思います。
グライド
グライド(ポルタメント)は、ここで指定します。
フィルター&エフェクト
FILTER セクション
ミキサーでまとめられた信号は、Overdrive (Drive Generator)を通り、アナログフィルターに送られます。この時、信号はアナログ回路を通って送られています。
また、フィルターに信号が行く手前に Overdrive が備わっていることで、音に厚みを出したり歪ませて汚したりと、フィルターを通す前のオシレーターの音に変化を与えることが出来るようになっています。
Peakのアナログフィルターは、SHAPE ボタンで、LP / BP / HP 12db / 24db を選択することが出来、Frequency でカットオフを、Resonance でピークをコントロールします。もちろん、ピッチによるフィルターカットオフのかかり具合を調整する Key Tracking も備わっています。
FILTERモジュレーション
モジュレーション系も、Env Depth , Amp EnvMod Env 1 , LFO1 Depth , Osc3 Filter Mod があります。ユニークなのは、オシレーター3の周波数で Fileter に直接モジュレーションを掛けることが出来る機能です。
モジュレーションマトリクスでソースとして使用する事も出来ますが、パラメータのツマミで直接コントロール出来るのは、かなりユニークです。
オシレータ3 のピッチを低くすれば低周波でゆっくりした変調を、高音域にすれば高周波でスピードの速い変調をフィルターに掛けることが出来ます。これは、mini moog のオシレーター3の役割と同じような働きになります。
エフェクターセクション
Peakのエフェクターは、4種類のエフェクターを装備し、アナログシンセサイザーとしては十分なエフェクターが揃っています。
- DISTORTION(アナログ)
- CHORUS(3つのタイプ)
- DELAY(Sync可能)
- REVERB(3種類のタイプ)
それぞれ、ツマミやボタンに指定のない詳細なパラメータは、エディットのディスプレイに表示されたパラメータを操作することで、細かいセッティングを操作することが出ます。
EFFECTS (Bypass)は、ボタン一発で操作できます。
バックパネル
Peakには、背面にはオーディオ出力系、制御インターフェース、パワースイッチなどが備わっています。オーディオアウトはもちろんステレオ、ちょっと変わっているのは、CV MOD IN という、外部のCV信号でモジュレーションをコントロールする端子が付いていることでしょう。CV/GATE ではなく、モジュレーションをコントロールするだけの端子というのは、珍しい発想です。
OUTPUTS (L/MOONO /R ) STEREO OUT
ステレオ出力可能なアウトプット端子。
HEADPHONES
ヘッドフォン端子
PEDAL 1 / PEDAL 2
モジュレーションマトリクスでもソースとしてルーティング可能な2つのペダル。エクスプレッションやサスティンで使用出来ます。
CV MOD IN
外部からのCV信号でPeakのモジュレーションをコントロールすることが出来ます。
想定としては、ユーロラックなどのモジュールから接続する使い方になると思います。
MIDI (IN / OUT / THRU)
MIDI機器との接続が可能な、MIDIインターフェース。
USB
PCとMIDIデータの送受信を行うタイプAのUSB端子。
オーディオ信号はやり取りできません。