KORG monotron

今回紹介するのはコルグのmonotron。何と言う小ささ!でもこの小さな筐体の中に、アナログ・シンセサイザーのエッセンスが凝縮されているのです。もうホント、びっくりでございます。

まずは、パネルを見てみましょう。


このシンプルなパネル!大好きです。左から、standby(スタンバイ)、pitch mod(ピッチ・モジュレーション)、cutoff mod(カットオフ・モジュレーション)の切り替えスイッチがあり、standbyの位置で電源オフ、pitch modとcutoff modの位置で電源オンとなります。

その右横には音程をコントロールするVCO(ブイシーオー=ボルテージ・コントロールド・オシレーター=発振器)のpitch(ピッチ=音程)のつまみ。中央部分には揺れを作り出すLFO(エルエフオー=ロー・フレキュエンシー・オシレーター=低周波発振器)のrate(レイト=速さ)とint.(インテンシティ=深さ)のつまみがあります。

何とrateつまみは赤く光り、その速さに応じた点滅をします。右サイドには、音色をコントロールするVCF(ブイシーエフ=ボルテージ・コントロールド・フィルター)のcutoff(カットオフ=倍音を削ることで音色の明るさをコントロール)とpeak(ピーク=cutoff付近の周波数を持ち上げて音色にクセを付ける機能)のつまみがあります。

パネル下部には、演奏するためのリボンコントローラー(鍵盤の絵がプリントされている)があります。そうそう、もちろんパネル右上にスピーカーも搭載されていますよ~。


バックパネルには、ボリューム、ヘッドホン・ジャック、AUX入力の端子があります。ヘッドホン・ジャックは音声出力も兼ねています。

AUX入力端子に携帯型音楽プレーヤーなどを接続することにより、外部の音源をmonotronのVCFでコントロールできます。裏パネルの蓋をあけ、単4電池を2本格納することで電池駆動できます。

Monotronの実力は?

では、monotronの回路図を見てみましょう。コレです!


しっかりシンセサイザーとしての回路が構成されているのが分かりますね。この回路はまさに、往年のコルグ・シンセサイザーの名機、あのMSシリーズを元にしてシンプルに構成されたものなのです。

それになんと、VCF回路にはMS-10/20で使用されたものと全く同じ回路を使用しています!!


どうりで強烈かつ劇的な変化をするわけだ。VCFのPeakを目一杯右に回した状態で、cutoffを回してごらんなさい...その強力な爆裂フィルター変化音にぶっとびますぜ!!

MS-10


さてここで、mod(モジュレーション)とLFOとの関係について見てみましょう。


電源オン/オフを兼ねたこのセレクターですが、pitchモジュレーションとcutoffモジュレーションは以下の関係となります。

VCO(ピッチ=音程)によるモジュレーション(=変調ともいう)とVCF(フィルター=音色)によるモジュレーションの違いはなかなか言葉で説明するのは難しいのですが、ここはしっかりDVDに収録されたムービーでご確認くだされ~。

さて、演奏はリボンコントローラーで行ないますが、ここでTipsをひとつ。


このようにプリントされた鍵盤の絵のとおり、1オクターブ強の音程を演奏することができますが、VCOのpitchつまみで音程レンジを可変することができます。他の楽器とアンサンブルする場合は、正しい音程をpitchつまみで合わせると良いでしょう。

それと......通常片手でリボンコントローラー上での演奏をする場合が多いと思いますが、

なんと!!
1箇所リボンコントローラーを押した状態で、他の指で弾いた場合、演奏範囲のレンジが約3度ぐらいのレンジに変化します。

すなわち、微妙な音程のコントロールができるのです。ぜひお試しあれ!(DVD内でも紹介してまっせ~)

Monotronの兄弟的シンセガジェット達

実はmonotronの他にも様々なシンセサイザー・ガジェットがあります。いくつか紹介しましょう。

KORG DS-10はニンテンドーDS上で動くコルグMS-10とも言えるプロダクツです。ケーブルによるパッチングなど、MS-10の特長と音を見事に再現しています。


私も監修に携わった学研のSX-150は、なんと大人の科学別冊「シンセサイザー・クロニクル」の付録。
monotronと同様、シンプルな構成ながらしっかりとシンセサイザーのロジックを抑えています。


そして、この「monotron++」!!


beatnic.jp(URL:http://beatnic.jp/)の武田元彦氏による改造版monotronです!
スペックとして、本家monotronにはなかった以下の機能が追加されています。

・MIDI入力!!
・VCA回路
・Glideつまみ
・VCO波形セレクタースイッチ(Square/Saw)
・Pulse Widthつまみ
・EG/LFOスイッチ
・Outputボリューム

コルグのサイトには、武田さん意外にも多くの方々がmonotronの改造版を披露しています。必見です!(URL:http://www.korg.co.jp/Product/Dance/monotron/welove/

いかがでしたか?monotron。

こんなにリーズナブルでめちゃくちゃ楽しく遊べるシンセサイザーは他では見当たりません。ぜひmonotronの面白さを体験してみてください!

monotronめちゃくちゃ楽しんで遊んでいる私も、映像で御覧くださいませ~!



■オフィシャルレビューHD版について

ミュージックトラックのオフィシャルレビューHD版では、映像はハイビジョン映像を記録し、音声はマルチトラックでZOOM のR16を使用してデジタルレコーディングを行い、それぞれの素材をもとに映像編集しています。

さらにおすすめ

Roland Sonic Cell

まずはSonicCellのおさらい。 この図を見てお分かりの通り、SonicCellは一言で語ると「オーディオ/MIDIインターフェイス内蔵サウンドモジュール」。 また、Cakewark SONAR LEも同梱されているので、まさにPCとSonicCell、MIDIキーボードが...

KORG prologue

最近、アナログ機器を積極的に開発、発売をしているKORGから、モノフォニックのmonologue、4ボイスのminilogueに次ぐハイエンドのアナログ・シンセサイザー、prologueが発売されました。 prologueには、8ボイス/49鍵のprologue-8と16ボイス/...

Arturia minimoog V2.0

アートリアのminimoog Vがバージョン2.0になって登場!シンセ好きは絶対避けて通れないビンテージ・アナログシンセの銘機中の銘機minimoogを完全ソフトウエア化し、あのモーグ博士も認めたその実力はどう進化したのか!? まずは実機を見てみましょう。 これは、アートリアが...

KORG i3 MUSIC WORKSTATION

KORGからミュージック・ワークステーション i3 が発売されました。i3 は、スタイルというバッキングやプリセットされている音楽スタイルに最適なコード進行もボタンにアサインされているので、好みのスタイルを選択してすぐに作曲や楽曲の制作を行う事が出来ます。

YAMAHA S70 XS

今回ご紹介するこの「S70 XS」は、S90 ESの後継機種としての位置づけもありますが、音や機能の面では素晴らしい進化を遂げています。 もちろんシンセサイザーとしての心臓部はMOTIF XSそのままで、ヤマハグランドピアノ“S6”という新規ピアノ音色(100MB超の大容量!)が...

Behringer DeepMind12

コストパフォーマンスが高いさまざまな音響製品を世に送り出してきたbehringerから、初のシンセサイザー、それもいきなり本格的な12ボイス、リアルなアナログのポリフォニック・シンセサイザーが登場しました! アナログ方式のシンセサイザーが密かにブームな現在、12音ポリフォニックで...

もっと記事を見る

page top