ARTURIA DX7 V

ここに注目:

  • 名機、YAMAHA DX7 を完全モデリングで復活
  • 当時、DX7で欲しかった機能が満載
  • オペレーションしやすいFM音源

FM音源の名機が完全復活

数々のビンテージ・シンセサイザーをソフトウェアで再現してきたARTURIA が、新たなコレクションとしてFM音源の名機を出してきました。YAMAHAが80年代に世界的大ヒットをさせたデジタル・シンセサイザーで、当時は聞き慣れないFM変調という方式で作られたYAMAHA DX7です。アナログ方式のシンセサイザーが主流の80年代前半、クリアで、リアルなそのサウンドは、シンセサイザーという機器を「メジャーな楽器」にしたと言っても過言ではない程、楽器の世界にインパクトを与えました。

PCM方式やサンプラーが世に出る前、アナログ・シンセサイザーが主流の80年代前半、現在のようにアナログ独特な、アナログらしいサウンドを追求する以外に、他の楽器をシミュレートして「〜に似た音」や、「〜風の音」など、何かその楽器の代わりになる音、似た音の再現を追求していた時代でもあったと思います。

そんな時代、アナログ・シンセサイザーの不得意だった倍音の多い金属系や、アタックの鋭い打楽器系の音などをFM音源方式でリアルに作り込まれたプリセット音を初めて聞いた時、強い衝撃を受けた記憶があります。

YAMAHAのFM音源の歴史は、YAMAHA DX5のレビュー記事で詳しく書かれているので、そちらも併せて読んでみてください。

ARTURIA が再現した DX7 V

DX7の基本機能を踏襲

ARTURIAがYAMAHAのDX7をソフトウェアで再現するとこうなりました。

  • DX7 オリジナル、6オペレーター、32 種類のアルゴリズムの再現
  • DX7 オリジナルパラメーターを全て再現
  • オリジナルのDX7から、システム・エクスクルーシブ・データをインポート可能
  • オリジナルのDX7プリセット、ROM1A-B、ROM2A-Bを再現
  • サンプリング音源ではなく、FM音源方式を再現した音源

6つのオペレーター、32のアルゴリズムとオリジナルのパラメーターの互換を保つことで、オリジナルDX7のシステム・エクスクルーシブ・データのインポート互換を可能にしました。これは、DX7をそのままソフトウェアにしたことと同様の意味があります。DX7で苦労して作り上げたオリジナルのサウンド・プログラムをデータ互換で再現出来るので、ハードウェアのメンテナンスや故障のリスクから回避することが出来るようになります。

また、436のプリセットのうち、オリジナルDX7の懐かしいプリセットを再現しているのも嬉しい機能です。

格段にエディットしやすくなったユーザー・インターフェース

DX7 の発売された当時、フロントのパネルから一切ツマミがなく、プリントされたプッシュボタン、データー・スライダー、2行の液晶ディスプレイとデジタルディスプレイしかなく、良い意味で斬新、先進、悪い意味で、エディットなど、使い勝手の悪いオペレーションパネルで登場しました。

ただ、当時初めて聞いたFM音源のエディットもかなり難解なもので、その特徴や自分の思ったとおりのサウンドに近づけるのには、操作性が悪かったこともあり、かなりな格闘とエディットの学習が必要でした。

その為、エディターやライブラリアン・ソフトなど、システムエクスクルーシブを使ったサードベンダーのソフトウェアなども一部で存在していました。

今回のDX7 V は、エディットするためのパラメーターへのアクセスを、ストレスなくスムーズに行う事が出来るようになりました。よく考えられたユーザーインターフェースで、とてもわかりやすい作りになっています。これからDX7やFM音源のエディットを勉強する人には、ぴったりなソフトだと思います。

オリジナルにはない、新たな機能

ARTURIAのDX7 Vは、オリジナルを忠実に再現しながら、たくさんの新機能を追加しているので、当時のサウンドに様々な新パラメータを駆使して、リッチなサウンドに仕上げることが出来るようになっています。

6つのオペレーター毎に、25 種類のウェーブフォームを装備

TX81Z、SYシリーズやFS1Rなど、次世代のFM音源では、オペレーターの波形がサイン波以外も選択出来るようになりました。DX7 V もサイン波以外に25種類の波形を実装することで、サイン波同士の変調以外に、様々なバリエーションの波形を変調することが出来ます。オシロスコープも内蔵しているので、波形の状態を目視しながらエディットすることも出来ます。

6 つのオペレータ毎に、マルチモードフィルターとフィードバックを装備

SYシリーズ、FS1Rにはフィルターが一つ実装されていました。FM音源にフィルターが装備されたことは、音色を加工やエディットする際、アナログシンセのフィルターの役割をする音色変化を、キャリアの出力レベルなどで行う必要が無くなったことで、当時はフィルターの装備は非常に大きなインパクトがありました。

そのフィルターが、DX7 Vでは6つのオペレーターそれぞれに1つづつ、合計6つの Low-Pass、Band-Pass、High-Pass選択可能なフィルターが装備されました。これで、キャリアや出力オペレーターの単位で、フィルターをかけることも可能になるので、音作りのバリエーションが格段に増えると思います。

32音ポリフォニックとユニゾンモード

オリジナルのDX7は16ボイスでした。DX7 Vは、32ボイスに拡張されており、ユニゾンモードも搭載されました。ユニゾンモードは、DX7II になってからの機能で、DX7 Vは、4ボイス・ユニゾンで、デチューンを使うことによって、8音ポリの分厚いサウンドが得られるようになりました。

DAC RES:ビンテージ・モダンモードとは?

オリジナルのDX7は、その当時のデジタルからアナログへの変換、DAC(Digital Audio Conberter)は、12bitで動作していました。その為か、ノイズも多く、その音の荒さが逆に一つの味となって、音が太く聞こえたりもしました。今のオーディオやPCから出力されるサウンドは全てハイファイになったことで、この手のノイズや音の荒さは許されなくなりましたが、DX7 V は、これを逆手にとって当時のオリジナルの方式で動作させる「Vintage」のモードを付けてきました。

これは、サウンド面だけでなく、当時のDX7のキーベロシティの上限が100で動作していた作りも再現しています。これで、当時のベロシティのニュアンスも再現出来ることになり、これらは、「Modern」にすることで、全てが現代のサウンド、セッティングに出来るので、とても素晴らしい発想だと思います。

4つのFXスロット

DX7やアナログシンセサイザー時代のレコーディングやライブなどでは、エフェクター無しでは広がり感や重厚さをなかなか演出出来なかったので、外部のハードウェア・エフェクターが必須でした。特に、コーラス、フランジャーなどのモジュレーション系やディレイ、リバーブなどの空間系は、よく使われたエフェクターの一部です。

DX7 Vは、いまでは当たり前となったエフェクターを4系統のスロットに、それぞれ11種類のエフェクターを装備しています。このエフェクターにより、FM音源のきらびやかな音、パーカッシブな音やエレピなどの音をイメージ通りにリッチに仕上げることが出来ます。

アルペジエーター

これはソフトウェアならではの機能で、最近のシンセには、ほぼ搭載されている機能です。FM音源が得意な金属音やパーカッシブな音には、アルペジエーターはとても相性が良い機能です。パラメーターも一般的なアルペジエーターの機能が装備されているので、マニュアルなど読む必要なく、扱えるでしょう。

アドバンスド・モジュレーション・マトリクスとステップシーケンサー

モジュレーション・マトリクスは、ソースとデスティネーションをマトリクス形式で選択してアサインする、視覚的にも非常にわかりやすい設定方式、ルーティング方式になっています。ここで、ステップシーケンサーをソースにして、オペレーターのピッチやレベル、フィードバックを変調先として変化させることで、かなり病的なサウンドも作ることが可能になるでしょう。もちろん、ステップシーケンサーのステップは、ステップとレングスを決定後、マウスで書き込みながら設定することが出来ます。

エンベロープ

DX7で難解だった数値だけで設定するエンベロープも、グラフィカルに設定することが出来ます。エンベロープのモードも、各オペレーターそれぞれ、DX7モード、DADSRモード、MSEGモードの3つのエンベロープモードを選択することが出来るので、様々な時間的変化を作り上げることが出来ます。

また、ピッチ用に1つ、モジュレーション用に2つのエンベロープも別に用意されています。もちろん、このエンベロープもマウスで自由にポイントをドラッグして、設定することが出来るので、とてもエディットしやすくなっています。

プリセット・ブラウザー

現在のバージョンでは共通のインターフェースとなった、プリセットのブラウザーです。カテゴリーやタイプなど、様々な角度からプリセットをサーチ、選択することが出来るので、非常に使いやすいです。

ANALOG LAB3との合わせ技

DX7 Vは、初代のDX7をモデルにしていることから、DX1、DX5、またそれ以降のDX、FM音源シリーズで一般的になった2台分のDUALのモードが再現されていません。

DUALは、ボイス数を犠牲にしながらも、2つのプリセットを同時にレイヤーやスプリットなど出来る機能でした。この機能で作られたリッチなエレピサウンドや、金属的なアタックを持つPADサウンドなど、当時はかなりリッチなサウンドが作り出せました。

そのDUALは、ANALOG LAB3を使うことで、簡単に解決します。ANALOG LABでは、マルチのモードを持っているので、DX7 V 2台分のマルチが簡単に組めます。また、DX7 V に限らず、ピアノ音源やアナログシンセサイザー音源のパッドサウンドとレイヤーを組むなど、プリセットを選択することで簡単にマルチを組むことが出来、オリジナルのプリセットとして登録しておくことも出来るので、DX7 Vや、ARTURIA製品を所有している人は、ぜひANALOG LAB 3も入れておくことをお勧めします。

デモ&レビュー映像

販売情報

製品情報

ARTURIA V Collection 6
ARTURIA DX7 V
ARTURIA ANALOG LAB 3

パッケージ販売


ダウンロード販売


ArturiaDX7 V



ArturiaAnalog Lab 3



ArturiaV Collection 6

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