Toontrack EZKeys

ここに注目:

  • 動作の軽い拡張性豊かなピアノ音源
  • MIDIフレーズを使ってハイクオリティな楽曲制作が出来る
  • 豊富な追加コンテンツ

EZKeysとは?

Toontrackといえば、高音質、高機能、操作も簡単なドラム音源、EZ DRUMMERや、その上位版のSPERIOR DRUMMERが有名なメーカーですが、ドラム以外のインストゥルメントで唯一、ピアノ音源のソフトウェアがこのEZKeysです。

EZKeysの最大の特徴は、ピアノ音源部と、簡単な操作でかつ、MIDIフレーズでリアルな音と演奏パターンが再生できるプレーヤー、エディターを搭載していることです。

このEZKeysが発売されたのは2012年頃なので、すでに6年近くも前になりますが、いまだにMIDIフレーズや拡張音源のコンテンツがリリースされいるので、現在ではそのジャンルも種類もかなり増ました。

EZKeysは、ピアノ音源」として様々な拡張サウンドライブラリが発売されています。今回のレビューでは、

  • GRAND PIANO
  • UPRIGHT PIANO
  • CLASSIC ELECTRICS(Rhodes MK I and Wurlitzer 200A)

この3つのピアノ音源(サウンドライブラリ)がバンドルされた、EZKeys Essential - BUNDLE版を使用して紹介しています。

ピアノ音源部

ピアノ・インストゥルメントのほとんどの音源方式は、物理モデル方式か、PCM・サンプリング方式で構成され、最近はハードディスクやSSDによるアクセスの高速化、大容量化、低価格化の流れから、大容量で高音質なギガサンプリング音源が当たり前になってきました。

EZKeysもサンプリング音源で構成されていますが、他の製品と比べて非常に少ない容量で構成され、ピアノライブラリやプリセットの切り替えなどの動作がサクサク行えます。言うまでもなく、大容量のギガサンプル音源と音の比較をすることはナンセンスですが、EZ DRUMMERなど、ドラム音源の製品で培った高度なサンプリング技術と波形の最適化、チューニングがうまくされているのでしょう、コンパクトながら、とてもいい音、使いやすい音に仕上がっていると思います。

デモサウンド

デモサウンドは、各ピアノの代表的なプリセットサウンドを紹介しています。フレーズは、それぞれの音源の特徴や音がわかりやすいように、EZKeysの同じフレーズで3パターンずつ再生しています。その他、さまざまなプリセット音のバリエーションは、Toontrackのサイトで聴くことが出来ます。

GRAND PIANO

Steinway & Sons Model D のサンプリング


UPRIGHT PIANO

Ostlind & Almquist のサンプリング


CLASSIC ELECTRICS

Rhodes MK I


Wurlitzer 200A


EZKeysのMIDIフレーズを使ったピアノ、エレクトリック・ピアノの代表的なプリセットサウンドを紹介してみました。それぞれのピアノの音は、派手さや、これはEZKeysのピアノ。といった特徴はありませんが、癖もなくオーソドックスな音なので、オケに馴染みやすいと思いました。価格や動作スピード、容量を考えたら、とても使いやすくて、いい音です。この後で紹介するMIDIフレーズのデモ曲で使用していますが、イイ音していると思います。

それぞれのピアノ(サウンドライブラリ)にはプリセットが用意され、そのプリセットサウンドに最適なエフェクトやコントロールがパラメーターとしてあらかじめセットされています。

ソングブラウザー

ソングブラウザーは、EZ DRUMMERで搭載されていた機能で、MIDIフレーズを使ったリアルな演奏パターン、フレーズのライブラリとそれをプレビューするブラウザーです。プレビューしながら気に入ったフレーズを組み合わせていくことによって、オリジナルのソングを組み立てていくという、打ち込みいらずの画期的な機能です。

EZKeysにもこのソングブラウザが搭載されています。EZ DRUMMER同様に、ソングブラウザから気に入ったフレーズを組み合わせてソングを組み立てていく方式で、そのMIDIフレーズは一流のミュージシャンによって演奏された様々なジャンルのMIDIフレーズが搭載されています。フレーズを組み合わせることで、すぐにでも作曲や編曲の手助け、インスピレーションを与えてくれます。

音楽理論を元に、フレーズのコード進行を最適なコードやキーに変更しながら、オリジナルの構成に変更やアレンジすることも出来るので、ピアノのオリジナル演奏、バッキングがすぐにでも組み立てることが出来ます。

これは、音楽的に初心者の人やキーボードが弾けない人でも、ソングブラウザのMIDIフレーズを使うことでハイクオリティな作品を作り上げることが出来るという、とても便利な機能です。

使い方は簡単です。まずは、自分で気に入っている音楽的なジャンルを選び、その中から拍子やテンポによって分けられた一つの曲の集まりを選び、イントロやサビなど、音楽的な構成の中から気に入ったフレーズをオーディション再生しながら選ぶだけです。

選んだMIDIフレーズは、下にあるソングトラックにドラッグ&ドロップで持ってくることによって、すぐに反映されます。同様に、曲の構成に従ってフレーズを並べていくだけで、一つの作品が仕上がるという、まさに手軽に作曲が出来る便利ツールなのです。

ソングトラック

ソングブラウザのセクションで説明しましたが、使用したいMIDIフレーズをこのソングトラックにドラッグして配置していくことによって、エディットをすることが出来るようになります。エディットは、コードセレクターによって、コード進行のコードを変更したり、メジャー、マイナー、6thや7th、9thなどを追加することも出来ます。コードは、前後のコードを元に破綻することの無いようなコードを自動的に表示してくれるので、その中から選択することでオリジナルのコード進行のフレーズを組み立てることが出来ます。

コードセレクター

音楽理論を元に、5度圏の関係性に基づいたコードが強調表示されるようになっています。理論に基づいた破綻のないコードを選択するのもいいですが、ほかのコードを指定することももちろん出来ます。

DAWとの連携

楽曲の制作は、ほとんどの人がDAWのソフトウェアを使用して行っていると思います。EZKeysは、スタンドアロンによる使用で、曲を作ることも出来ますが、プラグインとしても動作するので、DAWからはEZKeysのプラグインを呼び出すことで、すぐに連携をすることが出来ます。

連携の一つは、ピアノ音源としてEZKeysを使用する方法です。EZKeysのピアノ音源の音をピアノのパートとして使う方法です。

もう一つは、EZKeysのソングブラウザのMIDIフレーズ使用して、ソングトラックの中で曲の構成を仕上げます。そのトラックの内容をそのままDAWのトラックにドラッグ&ドロップで持って行くことで、EZKeysで制作した曲のトラックがそのままDAWのトラックに配置されて使うことが出来ます。もちろん、ブラウザから直接MIDIフレーズだけをDAWのトラックにドラッグ&ドロップで貼り付けることも出来ます。

DAW側では、まるでピアノのデータを打ち込んで作ったかのように、一気にピアノトラックを一つの作品レベルまで持っていくことができます。あとは、DAW側で細かなノートのエディットや、ピアノの音源を別のシンセなどの音源の変更するなど、自分のデータとして自由に使うことが出来ます。

ドラムソフトウェアとの連携

ToontrackのEZ DRUMMERやSPERIOR DRUMMERを持っている人は、ドラム音源のブラウザーから同じジャンルのリズムでトラックを組み立てることで、すぐにピアノトラックの演奏に合ったドラムパターンを構築することが出来ます。これは、楽曲制作をする人であれば、リアルさを求めた打ち込みに時間をかけるよりも、曲の内容や構成に時間をじっくりかけることが出来るようになるので、余計なことを考えることなく、曲のクオリティを追求することが出来ると思います。

広がる拡張性

Toontrackでは、EZ DRUMMER、SPERIOR DRUMMERに対応したさまざまなジャンルの拡張ドラム音とMIDIフレーズをコンテンツとして販売しています。

EZKeysも同様に、さまざまなピアノのシリーズやオルガン、メロトロンなど、キーボードに関わるサウンドの拡張音源と、ジャンルやスタイル別に数多くのMIDIフレーズも販売しています。

とても便利なのが、ジャンル、スタイルをピアノとドラムで同じシリーズとして用意され、販売しているところです。たとえば、フュージョンというジャンル、スタイル。このフュージョンのMIDIフレーズのライブラリは、ドラム版もピアノ版も用意されています。

この二つのコンテンツを追加購入して用意することで、ドラム、ピアノそれぞれのMIDIフレーズを組み合わせて一つのフュージョンの作品が簡単に組み合わせて出来てしまうと言うことです。もちろん、みんなが同じフレーズを使用したらどこかで聴いたことある?みたいになってしまうでしょうが、そこはコードセレクターでコードを変更してアレンジしたり、DAW側でデータを編集してフレーズ自体を変更すれば、かなりハイレベルなオリジナル作品を制作することが出来ます!

EZkeys 音源ラインアップ

EZKeys MIDIフレーズ

EZKeys Customer Jukebox

EZKeysのMIDIフレーズを使用して、ユーザーが仕上げた作品が公開されています。そのままMIDIフレーズを使用して作っているのか、編集しているのか、聞いてても全くわかりませんが、どれもが素晴らしい作品に仕上がっています。

EZKeys Customer Jukebox

拡張データによるデモ曲

拡張性のところで紹介した別売りEZKeys用、Drums用の「フュージョンパック」のMIDIフレーズを購入し、その中のMIDIフレーズを使用して簡単なソングを組み立ててみました。

MIDIフレーズ
フュージョンパックのMIDIフレーズより。

ピアノパート
EZKeys Acoustic Piano
プリセットの音をそのまま使用。
ベース(左手のノート)をベース音源で鳴らすため、削除。
ミックス時にインサートエフェクトでリバーブのみ使用。

ドラムパート
SuperiorDrummer2.0を使用。
FUSION GROOVESのMIDIフレーズを使用してソングを組み立て。

ベースパート
IK Multimedia MOD BASSを使用。
ピアノパートのトラックをまるごとコピーし、ピアノパートの左手(ベースノート)を使用。
右手のコードプレイ部分のノートを全て削除してベースノートのみにし、音源の発音域に合わせるため、一部のノートのオクターブのみ編集。

エレピパート
ARTURIA DX7 Vを使用。
ピアノトラックのデータをそのままコピーして、曲中の一部でユニゾン再生。

MIDIフレーズによるデモ曲

このデモソングではMIDIフレーズを並べて簡単に曲を構成してますが、ベースのトラックはピアノの左手の演奏データを、DX7 Vのトラックはピアノの右手の演奏データを再利用しているので、それぞれのパートに最適なアレンジ、ノートやノート長などをエディットすることで、本格的な曲のトラックとして利用できると思います。

デモ&レビュー映像

ピアノ音源としても使いやすいですが、制作ツールとしてとてもよく出来た、素晴らしいソフトだと思います。音源の価格的にも比較的リーズナブルな価格帯なので、ピアノ音源のパックのみを購入して、さまざまなMIDIフレーズのライブラリを後から購入することで、オリジナル作品作りのインスピレーションを得たり、バリエーションを増やす為の制作ツールという使い方もありだと思います。


実際の細かな操作方法やサウンドは、デモ&レビュー映像で見て下さい。

ji

販売情報

さらにおすすめ

Modal Electronics ARGON 8

Modal Electronics から最新のウェーブテーブル・シンセシス・エンジンを搭載したシンセサイザー ARGON 8 が発売されました。ARGON 8 は、37鍵、8ボイスのコンパクトなウェーブテーブル・シンセサイザーで、ラック版の ARGON 8M と 61鍵モデルの ...

Dave Smith Instruments Prophet REV2 16Voice

Dave Smith InstrumentsからProphetブランドのシンセサイザーが更にパワーアップして登場しました。以前のProphet08シリーズは、Prophetブランドの復活と、アナログサウンドの復活が話題になり、一躍人気の8ボイスのアナログ・シンセサイザーとなりまし...

Expressive E Touché

今までシンセサイザーのコントローラーと言えば、鍵盤やパッド、ツマミ、タッチセンサーなど、機能的にも「ほぼ」出尽くした感がありました。ところが今回、フランスのベンチャー起業である「Expressive E社」が、今までに無い形状と素材で動作するコントローラー「Touché(トゥシェ...

Circle

Future Audio Workshop(フューチャー・オーディオ・ワークショップ)の「Circle(サークル)」を試してみました。 この「Circle」のコンセプト、それは“1面で音作りのすべてが、画期的インターフェイスで操作できる”です。いつもはこの手のソフトシンセをチェッ...

SINGULAR SOUND BeatBuddy

Singular Sound から新しいタイプのリズムマシン、ビートボックスが発売されました。特徴は、ギターリストが使用するコンパクトエフェクタータイプの形状で、足元で操作することを前提に様々なリズムをコントロールすることが出来るように考えられていることです。

Behringer DeepMind12

コストパフォーマンスが高いさまざまな音響製品を世に送り出してきたbehringerから、初のシンセサイザー、それもいきなり本格的な12ボイス、リアルなアナログのポリフォニック・シンセサイザーが登場しました! アナログ方式のシンセサイザーが密かにブームな現在、12音ポリフォニックで...

もっと記事を見る

page top